壮絶闘病生活 白血病の北別府氏が胸中激白 意識なくなり妻が混乱

1日も早い解説者復帰を目指す北別府さん(本人提供)
リハビリを兼ねての散歩(撮影のためマスクは外しています)
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 広島東洋カープのエースとして活躍したデイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏(63)が闘病中の様子と現在の心境を告白した。昨年1月、成人T細胞白血病に罹患した旨を公表後、治療を開始。回復は順調で、野球解説者としての活動再開へ向けて準備を進めている。

 突然の公表から1年あまりになりますが、ファンの皆様にはご心配をおかけしております。今は良くなりかけては戻り、そしてまた良くなって…みたいなことを繰り返しながら、少しずつ快方に向かっている感じです。

 白血病をメディアで公表したのが去年の1月下旬でした。あのときは、いずれ分かることだし、事実をありのままにお伝えしたほうが治療に専念できると思い、家族とも相談して決めました。

 血液のがんと分かったときは、ショックというより、はっきりとした自覚症状があったわけではないし、何が起きているのかという感じでしたね。厳しさや苦しさに耐えて野球をやってきた人間だし、がんにかかるなんて思ってもみなかった。何なら不死身ではないかと思っていたくらい。

 ただ、3年ほど前に別の検査をした際、先生から「もっと大変なものが見つかった」と言われ、この病気のことを知らされていたんです。だから自覚症状はなくとも、いつかは発症するだろうと、ある程度は覚悟していました。

 今さらながら大変な病気なんだと思っています。治療が始まった当初は抗がん剤治療でも吐き気がなく、熱も出ない。やはりスポーツで鍛えた自分の身体は強いな、抗がん剤さえ何ともないと思っていたのは移植まで。5月に行った造血幹細胞の移植後は、熱が出たりして体調の変化が著しくなった。

 移植には白血球の型の一致率が高い次男がドナーになってくれた。骨髄バンクに100%一致するドナーさんはいるのですが、コロナ禍ではそれも難しく、息子からの移植となりました。

 その後、拒絶反応が起きてしまった。発熱だけではなく食欲が出ない上、口内炎がひどくて水も満足に飲めない。一時は意識もなくなり、家内が取り乱してしまったこともあったようです。いつも冷静に明るく看病してくれていましたが、コロナ禍で一切の面会もできずに私の状態が悪くなり、家内も精神的に参ってしまったとのことでした。

 気がついたら体重が20キロ落ちて77キロに。移植後は本当に壮絶な苦しみでした。でも治療してくれた素晴らしい先生方に出会えたからこそ、今こうして生きることができていると思っています。意識が薄れている間でさえも、先生の言葉だけは聴こえてきて安心できた。

 7月に退院できましたが、ほどなく湿疹や口内炎、手足が真っ赤になるなどの症状が出て、しばらくご飯が食べられなくなった。これも息子の細胞が生着する過程で、私の身体で暴れているからとのことでした。何度かそういうことを繰り返しながら完全に定着するらしいです。

 12月に入り、先生から「寛解」の状態にあると言われましたが、年末になって、移植した人間に起こるGVHD(移植片対宿主病)という拒絶反応が起こって再入院。激しい嘔吐や下痢で動くことさえ難しかった。大晦日に何とか退院した後は通院で検査を続けています。

 私の場合、末梢血幹細胞移植を受けたため、移植に伴う弊害で体調が悪い日もあるという感じです。

 でも励みになったこともあります。病名は違いますが、同じ白血病で苦しむ水泳の池江璃花子さんやアナウンサーの笠井信輔さんが、元気な姿を取り戻しているのを見て“オレも治るかも”って。

 そして重い症状が出たタイミングで北斗晶さんから「どう?頑張ってる?」「また仕事一緒にするよ!」とのLINEが。ご自身、がんを克服されているので、その言葉は心強かった。

 仕事仲間、野球関係者、私がコーチをしている高校野球部の生徒たち、ファンの方々、周りの友人家族からは、ずっと励ましていただいた。

 今後の目標?しっかり食べて、リハビリで弱った足腰に筋肉をつけて、薬による顔のむくみを取って(笑い)、体重を85キロぐらいに戻すことかな。

 今は朝起きても前ほどしんどくないし、好不調の波が小さくなってきた。テレビの夕方のニュースに出られるようになれば、全快とまではいかなくても、再出発という気分になれるかな。そして野球中継。去年の開幕戦は病院のベッドで迎えたんでね。カープの選手が活躍するシーンを早く現場で見たい。

 白血病は治らない病ではないと言われているし、今後も希望を持ち続けていたい。何が何でも生きるんだ、という強い気持ちがないとダメですよね。同じ病気で苦しんでいる人たちに、そうお伝えしたいし、ともに闘っていければと思っています。

 繰り返しになりますが、まずは仕事復帰して皆さんに元気な姿をお見せすることで、感謝の気持ちを伝えたい。助けていただいたこの命だという思いがあります。この先、病やコロナ禍で苦しんでいる方々のお役に立てるようなことがあるなら、これ以上の幸せはありません。心からそう思っています。

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