【佐々岡カープ誤算と収穫2】リーグ2位のチーム打率も…固定できなかった打線

 覇権奪回を目指し、佐々岡新体制で臨んだ2020年は52勝56敗12分けの借金4で5位に終わった。首位巨人とは13・5ゲーム差(13日現在)。接戦を勝ち切れなかった一年だったが、シーズン最終盤には粘り強さで白星を重ねた。今季の誤算と収穫を3回にわたって連載する。2回目はリーグ2位の打率を誇りながらも、固定できなかった打線を検証する。

  ◇   ◇

 順風満帆の船出だった。6月19日の開幕戦から7月19日までの1カ月間、チームは23試合中15試合で2桁安打を記録した。完封負けは9月1日の中日戦(ナゴヤドーム)が今季初。中継ぎ陣に不安を抱えつつも、活発な攻撃陣がカバーするという戦いが続いた。

 しかし、打線頼みの野球はなかなか長続きはしない。「打線は水物」と言われるように、貧打にあえいで投手陣をカバーできない時期もあった。苦手投手を作ったことも、V逸の一因となった。

 阪神・西勇には6戦で0勝4敗。9月11日(甲子園)には4安打に抑えられ、完封負けを喫した。朝山打撃コーチはその試合後「コーナー、コーナーに来られたら打てない。毎回対策を打っているが、やられている」と苦虫をかみつぶした。

 同じく阪神・秋山にも6試合で0勝4敗。球速以上に速さを感じる直球に手を焼いた。両右腕に共通する点は制球力。両サイドを丁寧に突き、左右に変化球を投げ分ける投球に苦戦した。その結果が5年ぶりの阪神戦負け越しにもつながった。

 チーム打率・262は、リーグ2位(1位はDeNAの・266)。ただ、佐々岡監督が「あと一本が出ない」と何度も口にしたように、好機での凡退も目立った。今季の残塁数はリーグワーストという事実が、拙攻を物語る。チームの犠飛は12球団ワーストの17。外野に飛球を打ち上げて1点を奪う最低限の攻撃も、簡単にはいかなかった。

 さらに先制を許した58試合は、10勝40敗8分けと大きく負け越した。2016年からの3連覇中には“逆転の広島”と呼ばれた攻撃陣の粘り腰は影を潜めた。年間を通してベストメンバーを固定できなかったことが響いた。1番を務めた打者が10人というあたりに、得点力が不安定だった要因が見え隠れする。

 1番に長野や西川などが入れば、安打で好機を演出できるが果敢に盗塁を仕掛けるタイプではない。逆に宇草や大盛は俊足が武器だが出塁率で前記の2人に劣る。指揮官は「なかなか1年を通して打順を固定できなかった」と振り返る。

 西川や会沢の離脱で1番、3番と打線の核になるポジションが日替わりになった。大黒柱の鈴木誠を4番から3番に変更するなどの策は打ったが、年間を通して攻撃の方針が最後まで固まらなかったことが下位に沈んだ要因といえる。隙のない攻撃と軸となる打順の固定が、来季逆襲へ不可欠となる。

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