【緒方カープの誤算2】埋められなかった「丸の穴」

 広島がリーグ4連覇を逃した。昨オフに、丸佳浩外野手が巨人へFA移籍し、新井貴浩内野手が現役を引退した。それでも前評判は高く、優勝候補に挙げる評論家も多かった。なぜ広島は敗れたのか、6回にわたって検証する。今回はその2。

 今季最大の関心事は巨人へ移籍した「丸の穴」だった。2年連続MVPの流出は大きな痛手だ。5カード連続で負け越した開幕時は盛んに戦力ダウンが叫ばれた。だが5月は20勝4敗1分けの快進撃で首位に浮上。6月1日時点では最大貯金14、2位阪神に5ゲーム差とした。「3番バティスタ」「中堅西川」の台頭で穴埋めしていたが、緒方監督が「(勝率)5割で十分」と言った交流戦で5勝12敗1分けの最下位。前半戦終盤には引き分けを挟んで20年ぶりの11連敗を喫した。

 5月の反動で打線が不振に陥る中、迎打撃コーチは「打線の核が1人いなくなったことが大きい」と言った。昨季までは「タナキクマル」の連動性に加えて、「丸、鈴木」の3、4番コンビが相手の脅威となっていた。今季は4番鈴木にマークが集中。103四球はリーグ2位で、得点圏以外でも勝負を避けられる打席が目立った。

 新井、エルドレッドが抜け、西川、バティスタも常時試合に出場したことで、代打からの波状攻撃も影を潜めた。今季の代打打率・216は昨季の・222と大差ない。「右の磯村、左の坂倉」は存在感を示したが、東出打撃コーチは「一時期足の速い選手ばかりがベンチに残っていた」と振り返る。選択肢が限定され、思い切ってカードを切れないこともあった。後半戦前、ファームからの推薦1番手がルーキー小園だったことを挙げ「2軍からの突き上げが少なかった。岩本、堂林、庄司、桑原…。(1軍野手の)16人の競争では危機感が薄れてしまう」と指摘した。

 丸の人的補償で加入した長野も実力を発揮したとは言い難い。迎コーチは「スロースターターと言われているが、目に見えないものは信じない」と先入観を捨て、チーム方針である競争の輪に入れた。しかし春先は思うようにコンディションが上がらず、スイングの強度も首脳陣の目には物足りなく映っていた。代打など出場機会は限られ、7月3日に出場選手登録を抹消。8月23日に1軍復帰すると、4番に座るなどさすがの存在感を示したが、首位巨人の背中は遠くなっていた。

 開幕前、緒方監督は「穴を埋める選手は1人じゃなくていい。2、3人で頑張ってもらえたらね。去年の丸の数字の近いところまで埋まると思う」と話していた。だが「丸の穴」は「3番中堅」だけでなくチーム全体に波及した。バティスタ離脱も重なり、最後まで悩まされた。

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