新井、日本一で有終飾る 常勝広島の精神的支柱晴れやか引退決断「駆け抜けたい」

 「広島3-11阪神」(5日、マツダスタジアム)

 広島・新井貴浩内野手(41)が広島市内のマツダスタジアムで記者会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。8月上旬に球団に引退を申し入れ、鈴木球団本部長からは慰留されたものの、意思は変わらなかったという。球団史上初のリーグ3連覇と悲願の日本一を達成し、愚直に野球と向き合ったサムライがユニホームを脱ぐ。

 カープの未来を若手に託して、新井が現役引退を決断した。約20分の会見は終始、晴れやかな顔。ユニホーム姿で「今、すごく若手が力をつけていますし、2、3年後、5年後のカープを考えたときに、今年がいいんじゃないかと考えました」と涙をこぼすことなく言葉を紡いだ。

 交流戦が終わった頃に引退の意思を固め、8月上旬に球団に申し入れた。鈴木球団本部長からは「まだ辞めるな。考え直せ」と慰留されたが、1カ月を経ても、気持ちは変わらなかった。

 「ボロボロになるまでやれ」と言われていた黒田氏に引退を報告した際の第一声は「え、ホンマか!?」。「まだできるだろう」と現役続行を勧められたが、「お前が決めたことなんだから、あとは最後までお前らしく頑張れ」と激励された。恩師の山本浩二元監督からも「よく頑張ったな、最高の引き際じゃないのか」とのねぎらいの言葉をもらった。

 カープを愛し、カープに愛された野球人生だった。1998年度ドラフト6位で広島に入団。「自分には大したセンスがない」と、猛練習で赤ヘルの4番まで駆け上がった。07年オフにFA権を行使して阪神に移籍。14年オフに古巣へ復帰してからは、メジャー帰りの黒田とチームを引っ張り、16年に通算2000安打と25年ぶりのリーグ優勝を達成した。

 「とにかくカープのために、少しでも力になりたいと思って帰ってきた。1年間やって力になれなかったら、すぐ辞めようと思っていた。4年間もやらせていただいて、優勝もさせていただいた。周りの方に感謝の気持ちしかないです」

 プロ20年目の今季は左ふくらはぎを痛め、14年ぶりに開幕2軍スタート。「悔しさ、もどかしさ、何やってんだという気持ち」。開幕当日は自身へ怒りを隠さなかった。それでも5月11日の阪神戦で1軍復帰を果たすと、勝負強い打撃でチームに貢献した。「今年はなかなか喜ばせてあげることができていない。申し訳ない」とファンへわびるが、精神的支柱として、リーグ3連覇へ欠かせない存在だ。

 チームメートには前日の試合後に伝えた。突然の報告に場は静まり返ったというが、「野間さんと上本さんは喜んでいたと聞きました。小さくガッツポーズしていたらしい」と笑わせた。この夜は大歓声の中、五回に代打で登場。空振り三振に倒れたが、割れんばかりの拍手が新井の身を包んだ。

 「最後、日本一になって、みんなとうれし涙で終われれば最高かなと思います。自分も何とか力になれるように、最後の最後まで全力疾走で駆け抜けたいと思う」と約束。最後の夢をナイン、ファンと追いかける。

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