さすが新井サン!殊勲勝ち越し打 同点打は誠也!カープ新旧4番そろい踏み

 「広島5-2中日」(2日、マツダスタジアム)

 広島・新井貴浩内野手(40)が、値千金の勝ち越し打でチームを勝利に導いた。1点を追う五回、新4番・鈴木の同点打に、6番に座るベテランが続いた。5月最初の試合は痛快な白星。今季9度目の逆転勝ちで2位・阪神とのゲーム差を2に広げた。

 球場のボルテージを最高潮に引き上げた。一塁ベース上の新井はベンチへ向かって歓喜の拍手だ。ゴールデンウイーク4日目。ファンへ最高の勝利を届けた。鯉の季節に、ベテランが竜をゴクリとのみ込んだ。

 「チームみんなでつないでくれたチャンスだったので。何とか点を取りたかったので良かった。気合を入れて打席に入りました」

 またしても新旧4番の競演だ。1点を追う五回。7試合連続4番に座る鈴木の同点打で追いつくと、夜空から運がひらりと舞い降りる。エルドレッドのファウルゾーンへの飛球をビシエドがグラブに当てながらポトリ。打ち直しの左前打で2死一、三塁とするとベテランが応えた。新井が外角スライダーに食らいつき中前へ。値千金の勝ち越し打で、先発鈴木をマウンドから引きずり降ろした。

 22歳の鈴木が新4番に座る中で、40歳の新井は6番に控える。ただ、心意気は何ら変わらない。「何番を打とうと自分のやることは一緒だからね」。涼しい顔でいつものフレーズを繰り返す。まなざしも温かい。「長くやってみないと分からないものがあるから」

 広島、阪神で長く4番に座り続けてきた。打てばヒーロー、凡退すると、容赦ない批判にさらされた。チームの敗戦の責任は、背中で受け止めてきた。幾度となく修羅場をくぐり抜けてきたからこそ「チームの負けが込んできたときとかね。(4番の重圧は)まだまだ分からないよ」と言う。自然体でいてほしい。だから、特別な助言も送っていない。「何をアドバイスするの?すごく打ってるのに」とニッコリ笑った。

 何よりもチームの勝利がうれしい。「安部も石原も打ってね。良かったよ」。五回の5連打、5得点で痛快な逆転勝利。緒方監督も「大きいビッグイニングだった。嫌な球質の真っすぐにしっかりアジャストしてくれた」とナインを称えた。若き4番を、実績十分のベテランが支える。今季の強さが凝縮された大きな1勝だ。

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