マエケン13勝目も…鯉22年連続V逸決定

 「ヤクルト3‐9広島」(10日、神宮)

 広島・前田健太投手(25)が自身最長タイの7連勝で、ハーラートップタイ13勝目を挙げた。初回、バレンティンにプロ野球記録に王手となる54号先制2ランを浴びたが、6回9安打3失点と粘った。巨人が勝ち、カープは22年連続のV逸が決定。エースはCSを勝ち抜き、巨人への雪辱を誓った。

 まさかだった。バレンティンに対し、頭の高さまで外した151キロ速球が、スタンドに持っていかれた。日本プロ野球記録に王手となる54号先制2ランを被弾。前田健は、ぼう然と左中間席を見つめるしかなかった。

 「あそこに本塁打されるのは球が良くない。球速は出てても全然ダメ」。約1カ月ぶりの中5日登板。「疲れとかじゃない」とは言うが、「今年一番ダメだった。思ったところに投げられたのは1球もなかった」と、状態は今季最悪だった。

 それでも崩れないのがエースの責任感だ。味方が逆転し迎えた6‐2の三回1死一、三塁でバレンティンを迎えたが、今度は130キロスライダーで空振り三振。ガッツポーズし、絶叫した。

 7‐2の五回2死二塁では、ベンチから敬遠指令。素直に従ったが、初球に快速球の147キロ。最後も145キロを出して見せた。「外す球にも力を入れた。逃げたくて逃げてるわけじゃない」と、意地をにじませた。

 六回、今季限りで引退するPL学園の先輩・宮本に適時打は打たれたが、粘って6回9安打3失点。大量援護もあり、ハーラートップのヤクルト・小川に並ぶ13勝目を挙げた。防御率は2・02に下がったが、再び2冠とした。

 「チーム的には勝って良かったし大きい。でも僕は気分が少しも良くない。この内容で納得したらダメ」。自身最長に並ぶ7連勝にも、反省ばかりを並べた。

 4位・中日とは2・5ゲーム差に開いた。だが、巨人が勝ったため、今季は優勝の可能性が完全消滅した。「CSに行けば、可能性はあるわけだから」。CSを勝ち抜き巨人に“倍返し”へ気持ちをたぎらせた。

 昨季は8月28日・神宮のヒーローインタビューで「CSに行きます」と絶叫した後、大失速した。「今年は神宮で(何も)言わないようにしようと思っていた。ヒーローじゃなかったし、今年は(CSに)行けますよ」と“吉兆”ととらえた。

 次戦も中5日で16日の巨人戦(マツダ)登板が濃厚。スッキリG倒でこの夜のモヤモヤを晴らす。

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