健大高崎・佐藤龍月 トミー・ジョン手術から奇跡の復活も「役割が果たせなかった」最後の夏 次はプロで「恩返し」

 「全国高校野球選手権・2回戦、京都国際6-3健大高崎」(13日、甲子園球場)

 2回戦3試合が行われ、昨夏王者の京都国際が昨春王者の健大高崎を6-3で下し、史上初の初戦での前年度春夏優勝校対決を制した。

 柔らかな陽光に、穏やかな風に、春の歓喜が眠る黒土に、気持ちが引き込まれていた。現実にハッとする。「もう九回か」。ベンチから信頼する仲間を見つめると、ともに過ごした日々がよみがえった。「みんなでツラい思いも楽しい思いもしてきた」。健大高崎(群馬)・佐藤龍月投手(3年)の、短くも長い夏が終わった。

 「力が湧き上がってくる」。そう表現するマウンドに帰ってきた。昨春選抜でV腕となるも、昨夏群馬大会で頂点を導いた左肘が悲鳴を上げ、トミー・ジョン手術を決断。一時は絶望が襲った。

 それでも、懸命なリハビリで驚異的回復。1年半を要するとされる実戦復帰を1年以内に果たし、夢舞台に戻った。

 「奇跡レベル。手術を決断した時に、想像もできなかったようなことが現実になった」

 四回2死一、三塁のピンチで登板し火消しも、続投して2回1/3を2失点。「役割が果たせなかった」と涙した。だが、ここで終わりではない。

 再建した靱帯(じんたい)は2年ほどで肘になじむと言われる。「まだまだ伸び代はある。支えてくれた人に、これからの人生で恩返しできたら」。目標は高卒でのプロ入り。異例の復活劇は、序章にすぎない。

 ◆佐藤 龍月(さとう・りゅうが)2007年7月13日生まれ、18歳。神奈川県川崎市出身。173センチ、77キロ。左投げ左打ち。大戸小1年時から今井西町少年野球部で野球を始め、6年時にはジャイアンツジュニアに選出。西中原中では東京城南ボーイズでプレー。健大高崎では1年春からベンチ入りし2年春のセンバツで優勝投手に。50メートル走5秒9、遠投120メートル。

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