織田完封で横浜快勝発進 指揮官が愛のゲキ「松坂さんを超えるんだろ?」
「全国高校野球選手権・1回戦、横浜5-0敦賀気比」(8日、甲子園球場)
「ホンモノ」になるために-。球数が100球に達した試合終盤。最速152キロ右腕の横浜・織田翔希投手(2年)にゲキが飛んだ。
「返事もしない感じだったので、それなら(マウンドから)降ろすぞと。松坂(大輔)さんは200球投げても次の日に投げて、弱さなんか見せてねえぞ。松坂さんを超えるんだろ?と話しました」とは、村田浩明監督(39)。愛ゆえの厳しい言葉に、憧れ、超えたいと望む偉大なOBの名前に、織田は奮い立った。「試合前に監督さんと『この試合を投げ切る』と約束した。まだ果たしてないので、投げさせてくださいと言いました」。“真の怪物”となるために、夏の聖地のマウンドに最後まで立ち続けた。
序盤から走者を背負う展開が続いたが、守備にも支えられながら要所を締めた。最大のピンチは、1時間7分の中断を挟んだ後に迎えた五回。失策と四球などで1死満塁の危機に陥った。それでも長谷川を左飛に打ち取ると、左翼・奥村頼の見事なバックホームでタッチアップした三走も本塁アウトに。「野手の方々の支えがあってこそ。代わりに良い投球をしないと失礼」と粘り切った。
難しい夏の初戦。しかも、天候不良により7日8時開始の第1試合から、この日の第3試合に日程が変更となった。ただ「調整してこそホンモノの投手。(登板日が)延びた分、まだまだ調整できるという思いでした」とプラスに変えた。
午後4時16分に真っさらなマウンドに立った右腕は3時間7分後、美しいカクテル光線に照らされながら、帰ってきた夢舞台で喜びをかみしめた。「春とは全くの別物で。言葉では表せないんですけど、立っていて感動するというか。本当に幸せ」。聖地で刻んだ初完封が、怪物2年生をさらなる高みに押し上げる。





