横浜 奥村頼2打席連発で逆転星 準々決勝救われ涙のエースが今度は打で救世主
「高校野球神奈川大会・準決勝、横浜4-3立花学園」(26日、横浜スタジアム)
神奈川大会は準決勝2試合が行われ、今春センバツ王者の横浜が0-3から逆転勝利で決勝進出を決めた。「4番・左翼」で出場したエース左腕・奥村頼人投手(3年)が2打席連発の全4打点。九回1死三塁から救援して試合を締め、投打でヒーローとなった。夏連覇を狙う東海大相模も最大4点ビハインドを追いつき、劇的サヨナラ勝利。27日の決勝は昨夏と同一カードとなった。
心を決めて振り抜いた打球は、野球ファンで埋まる右翼スタンドへと放物線を描いた。どよめきが大きくなり、歓声に変わる。奥村頼は両手を上げた。苦しんだ“勝者の涙”が、ヒーローの笑顔へと変わった瞬間だ。
3点を追う四回先頭でバックスクリーンへ公式戦初本塁打を放り込み、反撃ののろしを上げた。続く五回2死一、三塁で打席へ向かう直前に、ベンチから伝令。「きょう勝負を決めるのはお前だぞ」-。村田浩明監督(39)からの言葉を受け取り奮い立った。「その言葉を信じて、迷いなく振り抜きました」と2ボールからの内角低めスライダーをすくい上げ、高校通算4号となる逆転3ラン。驚異の2打席連発で試合をひっくり返した。
九回1死三塁、カウント1-2の危機ではマウンドへ。初球143キロ直球で空振り三振を奪うと、三ゴロで試合を締めた。「苦しい展開でしたけど、今度は自分が助ける番だと思った」。準々決勝では先発も二回途中3失点。主将・阿部葉太外野手(3年)の逆転サヨナラ打で劇的勝利し涙を流したエースが、この日は救世主となった。
発奮材料もあった。父・倫成さん(51)が指揮する滋賀・八日市が23年ぶりに4強入り。準決勝で滋賀学園に敗れたが、昨春から県内無敗の強豪に1-3と健闘した。「少なからず父には影響を受けています」。父子共演は逃したが、聖地への思いは強まった。「甲子園に忘れてきた宿題もあるので」。決死の覚悟で「あと1勝」をつかみに行く。
◆奥村 頼人(おくむら・らいと)2007年9月8日生まれ、17歳。滋賀県彦根市出身。左投げ左打ち。179センチ、84キロ。3歳から野球を始め、高宮スポーツ少年団に所属していた小6時は阪神ジュニアに選出。彦根中では滋賀野洲ボーイズでプレー。横浜では1年春からベンチ入りし2年春から背番号1。50メートル走6秒4、遠投100メートル。





