昌平 執念スクイズでセンバツ4強を撃破 2年連続3度目の決勝進出 「三度目の正直」で初出場狙う
「高校野球埼玉大会・準決勝、昌平1-0浦和実」(25日、大宮公園野球場)
劇的なラストだった。たった一度だけ訪れたチャンスは、絶対に逃さない。昌平がサヨナラセーフティースクイズを決め、2年連続で決勝の舞台へ。主将の桜井ユウヤ内野手(3年)は表情を引き締めた。「この大会で旋風を起こしたい」。さぁ初めての夏切符を目指して、3度目の挑戦だ。
相手エースの好投を前になかなか突破口は開かない。1点を争う攻防の中、昌平は鉄壁の守備でジッと耐え続けた。八回まで三塁すら踏めない状況の中、九回だ。1死から口火を切ったのは主将だった。
一発を狙って打席に入った桜井は初球をフルスイングでファウル。すかさず岩崎優一監督(32)も動いた。伝令が送られると、落ち着けの合図だ。「しっかりバットを出していけばヒットは出るから、と。ヒットに切り替えていきました」と中前打で出塁し、その後、一、三塁と最大の好機を迎えた。
この場面で、打席には中島航作内野手(2年)が入った。初球を空振りすると、指揮官は決断。「バントのうまい選手。監督が背中を押された」とサインをセーフティースクイズに変え、見事に1点をもぎとった。
桜井が大事そうに帽子のつばの裏を見た。そこに力強く刻まれているのは「昌平旋風」の文字。21、24年と涙をのんだ決勝の舞台で、今度こそ-。「秋も春も負けた。下克上とかそういう意味に似ているんですけど」。巻き起こした旋風がやむことはない。



