オリックス・遠藤 支配下登録へ外野に本格挑戦「どこでも試合に出られるように」 古巣・阪神「見返す」からプラス思考に
25年シーズンに並々ならぬ思いで臨む選手を取り上げるキャンプ企画「今季に懸ける」(随時掲載)。第7回は24年オフに阪神から戦力外通告を受け、オリックスに育成選手として入団した遠藤成内野手(23)に迫った。キャンプでは阪神時代には守ったことのない外野に本格挑戦。打撃では阪神・森下との自主トレから取り組むフォームが結果につながり始めた。支配下登録を目指し、新天地で抱く思いを明かした。
気持ちは切り替えているようだ。古巣へのリベンジの思いは、自分を磨いて道を切り開こうという前向きなものに。新天地で迎えたプロ6年目の春季キャンプ。背番号124の遠藤が懸命にアピールしている。
「(戦力外を)言われた時は『絶対に見返してやる』という気持ちは正直、ありました。だけど、今はまず自分のことをしっかりやっていかないと、というふうに思って」
居場所を築くため、慣れないことに臨んでいる。今春キャンプから本格的に外野挑戦。24日の熊本ゴールデンラークスとの練習試合は「6番・右翼」で先発し、七回から左翼にも就いた。
「どこでも守る、どこであっても試合に出られるように頑張ってます」。層の厚い阪神では1軍出場なし。昨季までウエスタンでも外野での出場はなかった。これまでの強みは一塁、二塁、三塁、遊撃の内野を守れるユーティリティー性。それでも「(外野に)しっかり慣れてピッチャーが打ち取った打球をアウトにできるように。外野の守備力をつけないと」。自分の可能性を外野にまで広げようとしている。
思い返せば戦力外通告を受けたのは昨年10月1日。ウエスタンで最高出塁率・392、リーグ2位の30盗塁を記録したシーズン後だった。育成でのオリックス入団が発表されたのは同11月18日。チャンスをつかむため、1月には東海大相模の1学年先輩、阪神・森下の自主トレにも参加し、打撃を見つめ直した。
「(今のイメージは)しっかり回りきる。前まで手打ちの部分があったので、しっかり下半身を使って回りきることを意識しています。森下さんと自主トレをさせてもらった時に変えました」。森下も通う野球トレーニング施設「株式会社Rebase」のスタッフとともに着手した『回りきるフォーム』に活路を見いだした。
新フォームは結果として表れ始めている。まずは11日の紅白戦で2安打。23日のソフトバンク戦は左翼への2点打、24日の熊本ゴールデンラークス戦は左方向へのソロ本塁打。バットからボールへ、うまく力を伝えた逆方向への一発だった。
これまでと環境が変わり、緊張が続く日々。それでも頼りになるチームメートがいる。同学年の宮城と紅林らだ。キャンプ中は食事会にも参加し、「『やりやすい環境だよ。先輩も優しいから』と教えてくれました。力強いです」。ともに1軍の舞台に立つこともモチベーションとなる。
ユニホームを泥だらけにして練習から引き揚げてくる姿は、もはや“日課”だった。「アピールしなければいけない立場ですから」。チームは24日にキャンプを打ち上げ、宮崎に残って3月2日まで「2025みやざきベースボールゲームズ」に参加する。南国で汗を流す濃密な時間。きっと実を結ぶ時が訪れる。
◆遠藤 成(えんどう・じょう)2001年9月19日生まれ、23歳。秋田県出身。178センチ、84キロ。右投げ左打ち。内野手。東海大相模高から19年度ドラフトで阪神から4位指名。高校時代は二刀流で活躍し、U-18W杯の日本代表に選出された。昨季はウエスタン・リーグで126試合、打率・262、30打点、30盗塁をマークするもシーズン終了後に戦力外通告。昨年11月にオリックスと育成契約を結んだ。



