ケガ人多いのになぜ?日本ハム好調のワケ 適材適所の起用 新庄野球も徐々に浸透「頭をいろいろ使って」

 8回、無失点に抑えた宮西に拍手を送る新庄監督(中央)=撮影・中島達哉
 サヨナラ勝利をあげ、笑顔を見せる新庄監督(撮影・中島達哉)
 練習を見守る新庄監督(撮影・中島達哉)
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 「日本ハム3-2楽天」(7日、エスコンフィールド)

 日本ハムがサヨナラ勝ちで最下位を脱出した。新庄政権初の3カード連続勝ち越し。再び5位に浮上した。

 もともと戦力に乏しく、開幕前の評論家予想ではほぼBクラス、最下位に予想する声も多かった。さらに開幕直後からケガ人も続出。投手陣では開幕ローテを託したポンセや金村、守護神石川、野手では清宮、五十幡らも離脱した。苦戦必至と思われたが、4月下旬から投打がかみ合い、上昇ムードに乗った。

 なぜ好調なのか。ひとつは投手陣の踏ん張りが挙げられる。勝ち越しを決めた3カード、9試合の平均失点は2・3。先発ではエース格の加藤、上沢、伊藤が力投しただけでなく、中継ぎから配置転換組のメネズ、鈴木、北山も好投。リリーフ陣では守護神に抜てきした田中正、ベテラン宮西らが奮闘。適材適所の起用が的中している。

 清水、伏見、マルティネスと3人いる捕手もうまく使い分ける。4日、初先発の北山はマルティネスと組ませた。新庄監督は「あんまり考えさせない方がいいかな、ああだこうだって。アバウトにいってくれるんじゃないかなっていうところで。あと、的が大きいので思い切って投げなさい、っていうところでした」と説明。狙いは的中し、6回無失点、課題の制球も安定して与四球は2だった。

 打線に派手さはないものの、機動力や小技を駆使。接戦で相手を揺さぶる新庄野球が要所で力を発揮している。5日の楽天戦では1点ビハインドの八回、無死一塁で五十幡が二盗に成功。その後、逆転すると、1死三塁では細川がスクイズを決めて貴重な追加点を奪った。

 チーム盗塁数20はリーグ3位。走者を前に進め、犠飛11はリーグトップ。盗塁失敗18はリーグワーストだが、積極的なトライは恐れない、新庄監督の方針も選手に浸透している。

 監督1年目の昨季は“トライアウト”と称して、故障者以外の支配下選手を全て1軍で起用。「去年からずっと無茶苦茶な作戦でいろんなことをさせて」(新庄監督)と大胆な戦術も試し、選手に経験を積ませた。

 ケガ人も多いが、この日もスタメンのチャンスをつかんだ福田光が九回に必死に四球を選び、好機を拡大。三回に痛恨の適時失策を犯していた上川畑が、執念のサヨナラ打を放った。

 新庄監督は「去年、1軍のこういう舞台に立たせているのは大きいかな。急に出て結果を出せといっても難しいから。何とかない頭をいろいろ使ってやりながら」と、選手の成長を実感。「上を目指す戦い方ができている。こういう勝ち方を学ばせながら上へ上へ行きます」と手応えも口にしている。

 4月29日の祝日から始まったゴールデンウイークは6勝2敗。本拠地は連日、2万5000人超のファンが詰めかけた。開幕直後は集客を心配する声も聞かれたが、チーム状態とともに球場の雰囲気も変わってきた。

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