巨人浮上のカギは、名将・野村克也氏流の発想、戦い方か-
「弱者には弱者の戦い方がある」-。リーグ5位に沈む巨人浮上のカギはノムさん流の発想、戦い方か。巨人・原辰徳監督(64)は開幕以降、坂本勇人(34)丸佳浩(33)のスタメン外し、ベテラン・松田宣浩(39)のプロ初の二塁手起用などさまざまな手を繰り出している。
だが、9日の広島戦(マツダ)でも劣勢をはね返せず、5連敗を喫した。昨季Bクラスに転落し、今季は覇権奪回を狙うチームにとっては苦しいシーズン序盤だ。
戸郷翔征(23)とともにローテーションの一角を担うはずだった菅野智之(33)が故障のため、開幕から離脱。これまで打線の主軸として活躍してきた坂本、丸が絶不調。WBCで活躍した岡本和真(26)は・441の高打率を残しているが、いまだ0本塁打、0打点とチームの勝利に大きく貢献するまでには至っていない。
私は野村克也氏がヤクルトの監督を務めていた時代に担当だったことがある。そのとき、野村氏から何度も聞かされた言葉に「弱いチームには弱いチームの戦い方がある」というものだった。ノムさんはよく「弱者が戦っていくには相手チームが『えっ?』と思うような作戦を取る必要があるんや。マスコミはそれを『奇策』と呼ぶ」と話していた。その「奇策」を産むのは「考え抜くこと」とも話していた。今でも高校出のルーキーだった石井一久(現楽天監督)=(49)=を公式戦0勝にもかかわらず、西武との日本シリーズで先発させたことなどは、その例の一つだと思っている。
2年連続でセ・リーグ優勝を逃した今の巨人は、決して“強者”ではない。今季は目立った補強をせず、今のところ戦力的にも若手の成長がいまひとつだ。今後、セ・リーグの優勝戦線に勝ち残っていくには、新外国人の働き次第というところもある。
巨大戦力を背景にしたなどとからかう声もあるが、それは違うと思う。巨人を日本一3回、リーグ優勝9回に導き、第2回WBCでは日本を世界一にした手腕は、頭脳や経験に基づいた戦術があったからだと思っている。
現段階ではチーム史上初のリーグ3連覇を倣うヤクルトや阪神が強力な投手陣を背景に、リーグの上位を走っている。だが、長いシーズンは始まったばかりで、選手の好不調の波は必ずある。また、どのチームも主力選手に故障が発生して離脱する可能性もある。
現段階での巨人の戦い方を擁護するつもりはない。だが、せっかくWBCで盛り上がった野球人気を継続させるには、ファンを引きつける、魅力的な試合を提供し続けなくてはいけない。現状は苦しいだろうが、原監督が「奇策」を駆使した戦い方で、ペナントレースの火を早々と消してほしくはない。(デイリースポーツ・今野良彦)





