「選抜高校野球・３回戦、大阪桐蔭１－０能代松陽」（２８日、甲子園球場）

　３回戦４試合が行われ、ベスト８が出そろった。第１試合は大阪桐蔭が１－０で勝利。

　堂々の９９球、８回完投だった。昨春覇者で昨秋神宮大会も制した大阪桐蔭に真っ向勝負。２安打１失点で敗戦投手になった森岡は「夏だと思い、今日負けたら引退という強い気持ちで臨んだ。悔しいけど、だいぶ自信になった」と胸を張った。

　少年時代の森岡を父・修さん（４６）は「背は高かったけど泣き虫だった」と振り返る。打たれると試合中でもマウンドやベンチで泣いていたという。初戦の石橋戦は無四球、１２奪三振で今大会完封一番乗り。この日も王者を苦しめる快投に「甲子園で投げている姿が信じられない」とアルプス席で目を細めた。

　背番号「１８」で聖地を初体験した昨夏が大きかった。聖望学園戦に２番手で登板し、４回５失点。先輩たちの夏を終わらせたことで強い自覚が芽生えた。練習で短距離ダッシュを繰り返し、鏡の前でのシャドーピッチングでフォーム修正に努めた。母・輝美さん（４６）には弁当以外に補食を作ってもらい食トレにも励んだ。半年間で７キロ増量に成功した。

　プロ注目の本格派右腕に成長したが「進路は何も考えていない。今は高校野球をやり切る気持ちが強い」と言い切る。「自分が完封すれば負けない。夏は全試合完封し、圧勝して日本一になる」。悔しさをにじませながらも涙はなかった。全国制覇が手の届く目標だと実感。最後の夏は秋田に初の大旗を持ち帰る。

　◆森岡　大智（もりおか・だいち）２００５年１２月２５日生まれ、１７歳。秋田県出身。１８４センチ、８１キロ。右投げ右打ち。投手。小３から軟式の合川ニュースターズで野球を始め、合川中では軟式野球部。能代松陽では１年春から背番号「２０」でメンバー入り。好きなプロ野球選手はＤｅＮＡ・今永昇太。