オリックス・杉本独占手記 苦しんだ1年 リベンジできてうれしい

 手記を寄せた杉本
 日本一が決まり満面の笑みでポーズを決める杉本(撮影・高石航平)
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 「日本シリーズ・第7戦、ヤクルト4-5オリックス」(30日、神宮球場)

 26年ぶりの日本一に貢献したオリックスの杉本裕太郎外野手(31)が手記を寄せた。今季は打撃不振や故障に苦しんだ中、ラオウが悲願の頂へと立った。ただ、自身の活躍には悔しさが残る。頂上決戦でプレーできたことへの思い、チームメートやファンへの感謝の気持ちを明かした。

  ◇  ◇

 去年の日本シリーズンはほっともっと神戸で最後に負けた。自分らの球場で、目の前で胴上げを見せつけられた。やり返してやろうという思いで始まった今シーズン。今年もヤクルトは強かったが、その分、リベンジができてうれしい。

 今年は悔しい思いばかりした。開幕してからは全然打てない。交流戦でいい感じになってきたと思ったら、最後の9月も打てなかった。けがや不調で抹消。家で1軍の試合を見てる時間も多かった。すごく悔しかった。チームも勝っていたし、居場所がなくなりつつあるなと感じていた。

 全然、打てる気がしない時期は本当につらかった。開き直って、何も考えずに打つことも。逆に配球にヤマを張って、イチかバチかでいったり、ギリギリまで引きつけて打ったり。めちゃくちゃ試したけど、何をしてもダメだった。

 そんな時に、監督やコーチ、選手は先輩や後輩関係なく、裏方さんも励ましてくださった。それで何とか頑張ろうと思ったし、ポストシーズンで絶対にやり返して、みんなに恩返しをしたいという気持ちになれた。

 短期決戦は常にチャンスで回ってきた。「なんやこれ!?」って思いながら打席に立っていた。ダメな時はどうしても「またチャンスかよ」と思ってしまう。それじゃ、絶対にダメ。日本シリーズは、ここまで来たら技術ではない。自分がやってきたことを出すだけだと思って、打席に立っていた。

 日本シリーズでも、もっと打てたと思う。正尚(吉田)が歩かされた後に打てなくて、悔しい思いもした。でも第4戦と第6戦で打てたのは良かったかな。ちょっと前までは、正尚が敬遠されると「なめんなよ」と感じていた。でも、冷静に考えると日本一の打者の後だから仕方ない。カッとなるのをやめて、打てば自分の打点が増える。「ありがとうございます」っていうふうに考えるようにした。

 ファンからもたくさんの励ましの言葉をもらった。「打てなくてもラオウを応援しているから、元気出して頑張れ」。けがをした時も「早く治して帰ってきて」「オリックスにはラオウが必要」と言ってくれた。すごく印象に残っている。チームに迷惑をかけてたのに、そうやって言ってくれる。オリックスファンは、すごく優しい。

 周りの素晴らしい環境がなかったら、永遠に打てないままだったと思う。来年は安定して打って、中軸にドシッと据えてもらう。数字は意識しない。1日1本はヒットを打つという気持ち。その積み重ねで、あとから数字がついてくると思うから。もっと頼りにしてもらえる選手になりたい。(オリックスバファローズ外野手)

 ◆杉本 裕太郎(すぎもと・ゆうたろう)1991年4月5日生まれ、31歳。徳島県出身。190センチ、104キロ。右投げ右打ち。外野手。背番号99。徳島商から青学大、JR西日本を経て、2015年度ドラフト10位でオリックス入団。16年6月14日・阪神戦(甲子園)でプロ初出場初先発(1番・中堅)。18年7月に史上8人目の2試合連続満塁本塁打を記録。本塁打王1回、ベストナイン1回(いずれも21年)。

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