社 歓喜抑えた夏初星 全力プレーで県岐阜商に敬意 創部74年目夏初出場で歴史的1勝

 「全国高校野球選手権・1回戦、社10-1県岐阜商」(9日、甲子園球場)

 夏初出場の社(兵庫)が13安打10得点。投げては堀田柊投手(3年)が6安打1失点の完投で、創部74年目で初出場初勝利を手にした。対戦した県岐阜商は5日に新型コロナウイルス集団感染が判明。特例でメンバー18人中10人を入れ替えて臨んだ中、社は大勝にも笑顔を封印。「試合ができる相手がいる」と敬意と感謝を行動で示し、スタンドから両校に大きな拍手が送られた。

 社ナインは最後まで笑顔を封印した。聖地に刻んだ歴史的1勝、初めて銀傘に響き渡った校歌。新鮮で、格別な景色は胸の内にソッとしまった。コロナ禍で主力大半が抜け、10人が入れ替わった県岐阜商が相手。山本巧監督は「複雑な思いでした」と、偽らざる思いを試合後に明かした。

 「どの学校も感染対策は、しんどい思いをしながらきている。自宅待機している10人の気持ちを察しました」

 配慮を見せた試合後の所作とは対照的に、試合は遠慮ない全力プレーで敬意を示した。初回。1死一塁から2番で、元西武・後藤光貴氏(現スカウト)を父に持つ剣士朗内野手(3年)が果敢に二盗を決める。相手捕手の悪送球を誘うと1死三塁から、3番・福谷宇楽内野手(3年)の右前適時打で先制した。

 バス46台でアルプスに詰め掛けた3000人の大応援団。地元とはいえ、経験のない夢舞台は手探りだ。「今日の朝までずっと先生方には、応援態勢を整えていただいた。負けるわけにはいかなかった」と山本監督。激戦区兵庫大会を制した勢いのまま、13安打10得点の猛打で圧倒した。

 先制V打を含む2安打3打点の福谷は、淡路島から社の門をたたいた。好きな言葉はスーパースター。津名中時代、阪神・近本が東浦中で指導を受けた巽史明監督に教わった。「今の僕があるのは先生のおかげ。体の大きさだけじゃない、高校で活躍できる技術をたたき込まれた」。同じ道を歩く先輩が、福谷にとってスーパースター。「僕もその言葉に合うような選手になりたい」と背中を追う。

 創部74年目で刻んだ記念の1勝は、始まりの1勝。「こういう状況でも対戦相手がいることに感謝します。自分たちには目標がある。どこにも負けないように戦っていいきたい」と福谷。目指すのは初出場、初優勝の快挙。さあ、いこう。真っ白な歴史のページを、鮮やかに彩っていく。

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