長田が67年ぶり県4強 「考える野球」でエース松田は大会直前にフォーム変更

長田-神院大付 準決勝進出を決めて、スタンドへ向かって駆け出す長田の選手たち=25日午後、神戸市須磨区、ほっともっとフィールド神戸(撮影・鈴木雅之)
 準決勝進出を決めて校歌を歌う長田の選手たち(撮影・鈴木雅之)
2枚

 「高校野球兵庫大会・準々決勝、長田4-2神戸学院大付」(25日、ほっともっとフィールド神戸)

 今年で創部100周年の長田が神戸学院大付を下して、1955年以来2度目で、同校最高の4強入りを果たした。初回に敵失と5番でエース右腕の松田宰(つかさ)投手(3年)の犠飛で2点を先制。三回も松田の中前適時、五回に4番・中嶋千尋内野手(3年)の左前適時打で得点を積み重ねた。松田は9安打を許しながら粘りの投球で2失点に抑えた。

 永井伸哉監督(50)は「秋も春も(地区敗退で)県大会に行けなかった。夏に1戦1戦勝てたことが自信になって、こんなところまで来てくれた」と選手の成長をたたえた。

 県内屈指の進学校が貫くのは、自分たちで考える野球だ。テークバックを極端に小さくした松田のフォームは、今大会の開幕直前、6月の練習試合で完成させたもの。同監督は「僕の知らない間に1週間で準備した。6月最終週の最後の練習試合で間に合った」と振り返った。

 それまではオーソドックスな上手投げのフォームだったが、2年の頃から「体と自分の感覚が合わなくなった。力んでボールが抜けるようになった」と松田。スランプに陥り、試行錯誤を続けていた中で、5月にバッテリーや主将を含むチームの約半分が新型コロナウイルスに感染した。

 松田は療養後に一念発起してMLBでも取り入れられている投法のショートアームに取り組むことを決め、30メートルの立ち投げからスタート。突貫工事のフォーム変更は「めちゃめちゃ迷った」。しかし「チームが勝つためには自分が抑えないといけない。チームのためという思いが勇気になった」と連日の投げ込みで習得した。

 通常、ショートアームは制球や負担軽減を重視するため球速が落ちることが多いが、「力感も球速も捕手の体感で上がっている」と自己分析。スライダー、カーブ、チェンジアップの変化球も「球の出どころが一緒なので、打者が真っすぐに差し込まれるようになった」と進化した。

 バックも「考える野球」でエースをもり立てた。データ分析を元に、状況に応じて変えた外野の守備位置が、何度もピタリとはまった。「自分たちで考えるのが長田の強み。永井先生もそれを重んじくれる」と松田。練習着の胸には「SINCE 1922」と創部年が記されている。その長い歴史の中で決勝に進んだことはない。長田100代目のナインがその壁に挑む。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス