中日・根尾は野手として何が不足していたのか 高代氏が打力と守備力を分析

 投手への転向を表明した中日・根尾昂選手(22)が19日の巨人戦でリリーフ登板し、岡本を速球で三振に仕留める快腕ぶりを披露した。投手根尾への期待は膨らむが、野手としては何が不足し劣っていたのか。この“逆流コンバート”をデイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏が独自視点で分析した。

  ◇  ◇

 わずか3年半。短い期間だったが、中日スタッフがこの状況で「無理」と判断したのだから、野手としての根尾に対するダメ出しと受け止めざるを得ないね。

 一番の理由は打撃面にあったと聞く。確かにその通りかもしれない。彼のプレーは、阪神の2軍コーチ時代に見る機会があったが、そのころからさほど変わっていないように感じていた。

 真っ先に期待されたのはレギュラーショート。そこで答えを出せずに外野へ回った。そうなると、より高いレベルの打力が求められることになる。ハードルが上がった分、評価も厳しくなったね。

 先にショートの守備力について、私なりに感じていたことから述べてみたい。

 彼は甲子園の優勝投手でもあるように、大阪桐蔭高校時代は大事な試合のマウンドを任されることが多かったはず。だからショートとしてのキャリア不足があったのかも。内野手らしくないというのがファーム時代の印象で、細かい動きができていないところが気になっていた。

 ショートは内野の要(かなめ)。投手や二塁手に指示を送り、同時に自分自身のポジショニングも考える。そういうことを2軍で基礎から学んでいる状態だった。

 送球動作について言うと肩は強いが、モーションが大きいため併殺が取れない。ガシャーンというまさに“投手投げ”で、パンパンパンという軽快なリズムがない。それと単純なゴロもよく弾いていた。

 さらにショートは外野も含めたフィールドの要でもあるため、外野へ打球が飛んだときに、どういうルートで中継するかを指示する役目もある。つまり“声”で外野手を動かすのだが、ほかの選手に動かされているようにも映った。

 要の仕事は一朝一夕にできるものではないからね。難しかったと思う。

 最大の課題だった打撃に関しては、テークバック時にトップを2度作るような動作になっていた。二段トップという不自然なフォームだから速い球に差し込まれる。

 余計な動きが入ると、速い球に遅れて緩い球に崩されるものだ。崩されても拾うことができればいいのだが、それができないから三振が多い。この状況からどうしても抜け出せなかったようだね。

 立浪監督は与田監督時代に、臨時コーチとして根尾の指導にもあたっていたが、成長の遅さに物足りなさを感じたのかな。変化の兆しがあれば、もう少し様子を見たのかもしれないが、先のことを考慮して早いほうがいいと判断したのでしょう。

 野手から投手への例は仰木(彬)さんがオリックス監督時代に、ショートの萩原(淳)をコンバートした記憶がある。嘉勢(敏弘)を試したこともあったね。しかし、目標の先発投手となるとハードルはかなり高くなると思う。

 強肩という素質を生かすためにも今後は制球を磨くなど、やるべきことは多いだろう。

 ただ岡本から三振を奪った直球は本当によかった。カウント球のスライダーもコースへ投げていたし、ブランクを感じさせなかったね。151キロが計測されたように球威があり、投手として十分やっていけそうだ。

 ローテーション投手になるのは簡単ではないが、楽しみのほうが強い。巨人戦は九回二死。リードされた場面での登板だった。これからは“本物の戦力”となった投手根尾を見てみたいね。

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