DeNA・牧 飛躍の裏に阪神・佐藤輝の存在と最強のシンプル思考

 試合前、牧(右)と話す佐藤輝=4月11日、横浜スタジアム
 キャンプで牧(右)の打球に視線を送る宮崎=2月9日、宜野湾
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 デイリースポーツの記者が今年を振り返る企画「番記者ワイドEYE」は、セ・リーグの新人特別賞を受賞したDeNA・牧秀悟内野手(23)の奮闘を振り返る。1年目から結果を残した背景には、ライバルの存在があった。DeNA担当・中田匡峻記者(26)が明かす。

  ◇  ◇

 1年で中心選手へと駆け上った。牧はルーキーイヤーから137試合に出場し、リーグ3位の打率・314で、22本塁打、71打点。最下位に沈んだチームの中で脚光を浴びたが、同期の存在が刺激だった。

 「向こうが打てば『自分も』となります。勝手にライバルとして見ていますけど。(ライバルは)絶対にいた方がいいかなと思う」

 その“向こう”とは。阪神・佐藤輝。初めて出会ったのは大学3年の日本代表選考合宿だった。当時から「飛距離、打球の強さは飛び抜けていた」とレベルの差を感じていた。

 当時はほとんど話す機会はなかったが、プロ入り後は試合前などに話す姿がたびたび見られた。シーズンでは開幕直後から注目を浴びる佐藤に刺激を受け、牧も開幕から着々と結果を残した。

 DeNAで今季まで7年間コーチを務めた坪井氏は、能力もメンタル面も含めて「今までで一番(の新人)じゃないかな」と牧を評した。なぜなのか-。

 「自分のルーティンがしっかりして、修正能力が高い。(フォームは)足を上げてしっかり右足に乗せて、そのままステップしてバットが出る。極めてシンプルな打者。(メンタル面は)あまり深く考えてないですよ(笑)。いい意味でね」

 ただ、自身を「ずぶとい」と話す新人でも交流戦後は当たりが止まり、「もうえらいことになる」と思った時期もあった。東京五輪期間中に坪井コーチから「直球を打てないとやっぱりだめだよ」と助言を受け、打撃を見つめ直して復調した。

 入団直後から“英才教育”も受けていた。坪井コーチの提案で、春季キャンプから17年の首位打者・宮崎と同組で打撃練習を続けた。牧が「マネをするのは絶対に無理」と言う好打者だが、得たモノは大きかった。印象に残ったのは「(自身の)成績を気にする大切さ」。成績が下がれば、考えすぎて悪循環に陥ることもある。だが、先輩からの「もう上がるだけじゃん」に、「確かにな」と最強のシンプル思考となり、結果にも結び付いた。

 いつかは“東の牧、西の佐藤輝”と言われる日が来るかもしれない。「タイプは違うけど、ライバルというか若い力、2人で頑張っていけたら」。この日のNPBアワーズでは壇上でお互いに「すごい選手」として名前を挙げた。2人はこの先も切磋琢磨(せっさたくま)しながら、成長していくだろう。

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