ヤクルト・川端がV撃 日本S制覇決めた!とびっきりの代打の切り札“神のひと振り”

 延長12回、川端は左前に勝ち越し適時打を放つ(撮影・山口登)
 日本一に歓喜する村上(右)らヤクルトナイン(撮影・飯室逸平)
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 「日本シリーズ・第6戦、オリックス1-2ヤクルト」(27日、ほっともっとフィールド神戸)

 ヤクルトベンチの切り札が、土壇場で日本一を引き寄せた。同点の延長十二回2死一塁。代打・川端のコールに場内の空気が変わる。捕逸で2死二塁となり、オリックス・吉田凌の内角スライダーに詰まりながら、しぶとく左前へ落とす適時打を放った。

 「後ろにつなぐ気持ちで(打席に)入ったが、いいところに落ちてくれて最高の結果になった」。何度となくチームの危機を救った川端の真骨頂と言えるバットコントロールが、胴上げお預け寸前で決勝打を呼び込んだ。

 高津監督も「シーズンからずっと、彼のひと振りに頼りっぱなし。アウトになることができない状況で、当たりは良くなかったがいい打撃だった」と頼れる男の大仕事に、最大級の賛辞だ。

 「代打の神様」にふさわしく、神がかり的なシーズンを送った。今季の代打成績は打率・366。18打点は若松勉に並ぶ球団タイ記録、30安打はヤクルト・真中満の31安打に次ぐプロ野球歴代2位と存在感を示した。

 15年の優勝時は不動のレギュラーとして首位打者を獲得。だが以降は故障に苦しみ、今年は代打を主戦場に変えて再起を図ったシーズンだった。「とにかく、ファーストストライクから集中していくことが一番大事」。試行錯誤の中で、ひと振りで結果を残す術(すべ)を見いだした。

 「去年、おととしと苦しい、悔しい思いをした。本当に諦めずに、しっかりと練習をしてきて良かった」。川端は、かみしめるように言葉を紡いだ。

 その記憶が、強い思いが、日本一決定と同時に涙となって止めどなくあふれた。「めちゃくちゃうれしかった。こんなに涙が出るとは思わなかった」。苦境でも決して揺るがず、決して諦めず-。川端の信念が生んだ“神のひと振り”だった。

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