仙台育英・伊藤 圧巻明徳0封 かつての“スーパー1年生”聖地でリベンジ

 「選抜高校野球・1回戦、仙台育英1-0明徳義塾」(19日、甲子園球場)

 役目を終えたエースはフーっと息を吐いた。四回2死一、三塁の救援から、5回1/3を無安打無失点の圧巻投球。かつてスーパー1年生と呼ばれたプロ注目の伊藤樹投手(3年)が2年ぶりの“リベンジ”の舞台で輝きを放つ。「出来過ぎです」。試合後、ようやく笑った。

 1点リードの四回、ピンチで名前が呼ばれる。「あとは任せろ」。先発した後輩、古川翼投手(2年)に声を掛けた。「同じ思いをさせたくない。全集中で投げました」。脳裏には悪夢が浮かんだ。

 19年夏の甲子園・準々決勝の星稜戦に先発したが、二回途中5失点。「あの時は自分が試合を壊してしまった。エースとしての責任、役割を果たそうと思った」。代木をこの日最速145キロの直球で空振り三振に斬ると、五回以降は二塁すら踏ませぬ快投だった。

 エースの復活に、須江航監督(37)も「スーパー1年生と騒がれ、挫折も味わった。そこから戻ってきた。本当に尊敬しています」と目を細める。「力以上が出た。球場の雰囲気に助けてもらいました」と伊藤。悲願に向けて、まずは1勝。紫紺の優勝旗を奪いにいく。

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