巨人の盤石リリーフ支えた「松下村塾」 登板する前に“すでに打ち取っていた”

 リーグ屈指ともいえる盤石のリリーフ陣形成が、優勝への原動力となった。逆転負けの少ない巨人は今季からブルペン入りする投手に“リリーフ松下村塾”を催し、失点を防いだ。その講義の中身に迫る。

 「うちの投手は一回、受講中に脳で投げて、マウンドで体で投げる。そういうイメージができてるんです」と宮本投手チーフコーチは自信満々に言う。江戸時代末期に松下村塾が開かれた山口県萩市にほど近い下関市出身の同チーフコーチが「ブルペン松下村塾」と名付け、先生役は村田善則ブルペンコーチが務めた。

 では、そこで何を教わるのか。受講の中身について村田コーチが説明する。

 「試合前にミーティングが行われますが、試合では中継ぎが登板する前にバッターが打席を重ねていくわけで、その中で試合前のミーティング通りなのか、あるいは打者に変化があるのか、打席の映像で把握できるので、状態を伝えたりします」

 ブルペンで調整する前にモニターを見ながら、実際の打者の動きを全投手が追う。カウント別や状況別の打者の狙い球を村田コーチが説明する。投手陣からは鋭い質問が飛ぶが、そこは捕手出身でスコアラー経験もあるコーチの強みだ。相手のデータと現在の状態を中継ぎ陣に事細かに伝え、打者を抑えるイメージを持たせてマウンドに上がらせる。

 村田コーチへの原監督からの信頼も絶大だ。「感性を伝えてほしい」との期待を受ける。「展開を予測して、抑えるための準備を早くさせる。ベンチの宮本さんとこまめに連絡を取り合って、意思疎通をしっかりして投手陣を送り出します」と村田コーチ。最近では10月4日の阪神戦で、大江が無死満塁を無失点に抑え、勝利投手になったのが記憶に新しい。ボーア、原口、小幡との対戦イメージができあがった上で投げ、3人を抑えた。周到な準備ができていたからこそだ。

 実際の松下村塾では塾生の伊藤博文や山県有朋が、のちに内閣総理大臣を務めるまでになった。「結果が出れば確実に進んでいくと思うので、中継ぎでの経験を経て、最終的には日本を代表する選手になってくれればなと思いますね」。松下村塾の経験を生かし、日本代表を務めるような投手へと成長することを、村田コーチは願っている。

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