清原が死球を避けなかったひとつの理由「松井、由伸をターゲットにさせません」

 広島や巨人で数々の強打者を育成し、名伯楽と呼ばれる内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)。巨人時代には球界を代表するスラッガー、清原和博氏の指導にも携わった。間近で見てきたコーチだからこそ知るエピソードを聞いた。

 ◇ ◇

 キヨの持ち味はセンターから逆方向の打撃。軸足の回転を抑え、バットの面を返さずに押し込むからこそ、ケタ違いの打球がライトへ飛んでいた。

 一方で上体が固く、腰がまわらないものだから、内角に難があった。弱点は本人も理解していたが、球場に来たOBに「肘をたため」などのアドバイスをされるたび「5分、10分見て何が分かる」とかんしゃくを起こしていた。

 私がバットを短く持ち、半分くらいの力でボールを捕まえる動作を勧めたこともある。ただ、あの時代はファーストにマルチネス(99年~01年)やペタジーニ(03~04年)といったライバルがいて、出たり出なかったり。すると、やけになって大振りして、バットが外回りする悪循環だった。

 逆方向への持ち味も消えてしまうため、打撃練習では私がセカンドのポジションに立ち、「ここを目がけて打ってこい」と意識させることで修正に取り組んでいた。

 01年に121打点と結果を残したシーズンもあったが、当然、相手バッテリーは弱点を攻めてくる。避けずに死球となり、相手ににらみを効かせている姿を覚えているファンも多いだろう。

 実は、キヨなりによけない理由もあった。「松井、由伸に当てさせるわけにはいかないでしょう。あのふたりを死球のターゲットにはさせません。自分が盾になりますよ」と話していたことがあった。相手は一度、死球を当てると2度目は当てにくい。仲間に対する厳しい内角攻めを少しでも減らそうという考えだった。

 当てられて黙っていただけではない。自軍のバッテリーにも「やられたらやり返して欲しい」という思いがあり、そうした姿勢が見えないと不満を漏らしていたこともあった。入来が阪神・アリアスの背後にボールを投げたこともあったよね。仲間思いであり、闘争心は人一倍強い男でもあった。

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