梨田氏 回復の兆しに28会メンバーも安堵「会える日を楽しみに」
新型コロナウイルス感染を公表し闘病中の野球評論家・梨田昌孝氏が、集中治療室(ICU)から一般病棟に移ったことが17日、所属事務所から発表された。梨田氏と同じ昭和28年度生まれの元プロ野球選手で構成される「プロ野球28会」メンバーも安堵(あんど)した。
高校時代から約50年間にわたって親交のある元阪神コーチの岡義朗氏(デイリースポーツ評論家)も「ほんっとによかった。28会の初代会長でもあり、同級生たちにとって彼の存在は大きい。これまでリーダーシップを取ってきてくれた。メンバーのみんなも本当に心配していたから」と、ひとまず安心した様子だ。
入院の発表があった直後、岡氏のもとには中畑清氏、真弓明信氏、田尾安志氏らから心配する電話があったほか「ふだん連絡がめったにないようなメンバーからも“ナシは大丈夫か?”と電話があった」という。岡氏も詳細がつかめない中、病床の梨田氏へLINEを送った。
「不屈の精神で復帰するのを待っている、とね。当然、既読にはならんかったけど。必ず回復して後日読んでくれるはずだと信じて、願いを込めて送っておいた」
それだけに回復の兆しが見えてきたことを心から喜んでいる。
「会える日を楽しみにしていると、もう一回LINEを送っといたよ。ナシは自分にとって恩人やからね」
岡氏が1998年オフに阪神を退団した際、梨田氏からラジオ解説の仕事を紹介された。パ・リーグの解説をすることもあり、2001年オフにオリックスから1軍コーチとして声がかかった。その後は広島、阪神のコーチに就任し、野球人として復活することができたと今も感謝している。
心配な日々を過ごしてきた中、昔の思い出もよみがえってきた。岡氏が最も印象に残っているというのが1979年のこと。広島-近鉄のオープン戦が行われた3月、当時広島で現役選手だった岡氏が広島市内の自宅に当時近鉄選手の梨田氏と羽田耕一氏を招いて食事をした。その際に「日本シリーズでも対戦できたらいいのになあ」と健闘を誓い合った。その年の秋、両チームは実際に日本一をかけて激突。いまだ語りつがれる「江夏の21球」の伝説が生まれた。岡氏は左翼の守備位置で歴史的瞬間に立ち合った。
「いろんなことがあったね。50年間のことを思い出してたよ」
今回の事態を受け、改めて実感した盟友の存在の大きさ。「本当にホッとしている。ほんまによかった」。今は梨田氏が退院して再会できる日を心から楽しみにしている。(デイリースポーツ・岩田卓士)