尼崎工 劇的逆転勝利に双子コンビの絆

 「高校野球兵庫大会・1回戦、尼崎工3ー1出石」(10日、姫路ウインク球場)

 劇的な逆転勝利には、兄弟の絆があった。3得点で逆転に成功した九回に、無死一塁から同点適時二塁打を放った「4番・三塁」の野尻伸弥内野手(3年)は、「2番・二塁」で出場していた野尻雄弥内野手(3年)の双子の兄。一卵性双生児ということで顔も体格もそっくりな2人だ。

 身長は兄・伸弥が165・8で、弟の雄弥はそこから約1センチ低いだけで体重は同じ68キロ。「よく間違えられたりします」と声を揃えるように、今も同じ尼崎工で白球を追っているのは、双子だったことが大きい。

 伊丹東中学2年の12月、伸弥が「ネフローゼ症候群」という腎臓疾患を患った。「まぶたがむくんできたりして。完治がないというか風邪とかをこじらせたらまたなってしまうとか」という重い病気であり、そこから約半年入院生活を送った。その間は、面会の制限などもあったため、兄弟で顔を合わせたのも1度ほどだけだったという。

 伸弥の中学時代の野球は、12月で事実上終わりを迎える形となっていたが、尼崎工に進む方向で考えていた。そんな中、2人が中学3年だった6月頃のある日、伸弥を目当てに尼崎工の関係者がグラウンドにやって来た。ただ、伸弥が入院中であることを知らなかったため、伸弥のつもりで話していた相手が実は、変わらず野球を続けていた顔のそっくりな雄弥だったという。

 「伸弥と思って話されてて、途中で『あれ、もう一人は?』となって『双子です』と言って。『じゃあ2人で来いよ』と」と雄弥。思わぬ行き違い?で同じ道を進むことになったのも、双子ならではの運命か。

 高校卒業後は、別々の進路の進むことになりそうだという。試合後、雄弥は兄に「最後はナイスバッティング。勝たせてくれてありがとう」と声をかけた。同じユニホームで戦う最後の夏。1日でも長く戦っていきたい。

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