広陵2年連続夏切符!中井監督男泣き…豪雨被災地へ、初の日本一「届けたい」

 「高校野球広島大会・決勝、広陵5-4広島新庄」(28日、しまなみ球場)

 2年連続で同一カードとなった決勝は、広陵が広島新庄を延長十回サヨナラで下し、2年連続で甲子園出場を決めた。優勝回数は、広島商を抜いて県内最多となる23度目になった。西日本豪雨の影響で当初より10日遅れて開幕した今大会。中井哲之監督(56)は広島に明るいニュースを届けると明言。記念の100回大会で初優勝を狙う。

 松本知樹内野手(3年)が本塁を駆け抜けると三塁ベンチ前で歓喜の輪ができた。4-4で迎えた延長十回。激闘に幕を下ろすサヨナラの生還だ。中井哲之監督は「厳しい試合になると覚悟していた。きょうはどうしても勝ちたかった。頑張ってくれた控えの3年生を中心に感謝したい」と声を詰まらせた。

 今大会はノーシードから頂点を目指した。準決勝では広島商に競り勝った。接戦での強さはこの日も健在で2度、ビハインドの展開をはね返す。延長十回に左中間へサヨナラ打を放った藤井孝太外野手(2年)は「絶対に走者をかえしてやろうと思った」。投手陣は六回から登板したエース森悠祐投手(3年)が5回無安打無失点で流れを断ち切った。

 中井監督はリードされると空を見つめ胸の中でつぶやいた。「勝たせてくれと言いました」。3月28日。父・千之さん(享年78)が病気により他界した。「控え選手を大事にするとか支えてくれている人に感謝をするとか、人として大事なことを教えてもらった」。広陵野球部の精神である「ありがとう」は父が原点とも言える。野球はもちろん、人としての立ち振る舞いなどを教えてくれたかけがえのない人だった。

 褒められたことは一度もない。それでも「最後にお前には負けたかな、と周りの人に言ったみたい」。伝え聞いたその言葉がうれしかった。この日は月命日。どうしても勝ちたかった。

 「自分の勝利数にはこだわりはない」。それでも1つだけ超えたい数字があった。広島商の優勝回数だ。常に広島の高校野球界をけん引してきた2校。この日でそれを超え、県内最多の23回を数えた。「監督になったときから目標にしていた。上に行ったので、ますます頑張りたい」と力を込めた。

 記念の100回大会は、西日本豪雨の影響で開幕が当初の予定から10日遅れた。新聞などで見る被災地の様子に、野球ができることへ感謝の思いが募った。「広島の代表として戦う。少しでも良いニュースを届けたい」。準優勝した昨夏から1年が過ぎた。夏の甲子園で初めての日本一になることが何よりもの恩返しだ。

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