広商・中村 “二刀流”で8強 先発4回0封&2安打3打点

 「高校野球広島大会・4回戦、広島商11-0山陽」(24日、しまなみ球場)

 広島商が11-0の五回コールドで山陽を下し、3年連続でベスト8に入った。先発した中村光希投手(3年)は4回4安打無失点と好投し、バットでも2安打3打点をマーク。“二刀流”の活躍で勝利の一翼を担った。

 中村に充実感がにじんでいた。投げては先発して4回4安打無失点。バットでも2安打3打点の活躍だ。額からこぼれ落ちる汗をぬぐうと「0点で抑えられて良かった。タイムリーは偶然です」と目尻をさげた。

 テンポ良く投げ込み山陽打線を手玉に取る。二回1死一、二塁は遊直併殺でピンチを切り抜けた。打席では二回に右前打を放つと、四回1死満塁で走者一掃の3点適時二塁打。鋭い振りはスタメン野手に引けを取らない。

 2年夏まで二塁手だった。昨秋の県大会終了後、球筋の良さを評価され若松前監督から投手転向を勧められた。翌日「やります」と返答。野手に未練がなかったわけではないが「期待してくださっているということだと思った」と腹をくくった。

 中学時代に投手経験はあるものの本格的に取り組むのは初めてだった。打撃練習を封印し、学校近くにある江波皿山公園へと続く坂道を何本もダッシュし下半身を鍛え抜いた。並行して投げ込みも実施。投手の基礎固めに明け暮れた。

 一冬を越え「128キロくらいだった」という球速は一気にアップ。常時130キロ中盤が出るようになり、今大会初戦となった庄原格致戦では自己最速の144キロを計測した。

 部内暴力が発覚し今月6日まで対外試合禁止処分を受けた。節目の大会に出場できることに「感謝の思いがある」と力を込めた。25日の準々決勝は尾道と対戦する。「絶対に優勝したい」。野球ができる喜びを感じながら14年ぶりの頂点を目指す戦いに臨む。

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