夢かなえた元盗塁王、巨人・藤村 次は夢をかなえさせる立場へ

 【第2の人生へプレーボール】

 今オフも多くの選手が所属チームを退団した。新天地に働き場所を求める者、引退して指導者として歩み出す者がいれば、ユニホームを脱いで新たな世界に挑戦する者もいる。彼らの第2の人生にエールを込めて、スポットを当てる。巨人・藤村大介内野手(28歳)を追う。

  ◇  ◇

 少年時代からの憧れの球団でもがき続けた10年間。かつてのタイトルホルダーは28歳でユニホームを脱ぐ決断をし、「チームに貢献できなかったけど、全力でやりきりました」ときっぱりと言い切った。

 家族の影響で巨人ファンとなり、子供の頃から巨人のキャップをかぶって外を走り回るほどだった。小学生の頃の作文には「ドラフト1位で巨人に入団、ホームラン王、盗塁王」の夢を記していた。

 07年度の高校生ドラフト1巡目で入団し、11年には28盗塁で盗塁王を獲得。「ホームランは1本も打てませんでしたけど、子供の頃の夢をかなえられました」。描いた夢の2つが現実となり、12年には109試合に出場して日本一も経験した。

 だが一転して、13年以降は出場機会が減少。今季は1軍での出場がなく、10月7日に戦力外を通告された。トライアウトに出ることも一つの選択肢にあったが、「他のチームのユニホームを着て、ジャイアンツを敵に回して戦う自分の姿がイメージできなかった」と明かす。1週間悩んで選んだ答えは、巨人一筋を貫くことだった。

 通算294試合。今でも忘れられないのは11年10月11日の阪神戦。藤川から放ったプロ唯一のサヨナラ打だ。本拠地で一身に降り注ぐ大歓声。何物にも代えがたい瞬間だった。「10年間やってきて一番うれしかった。これから4万人もの方から歓声を受けることはないので。この経験をこれからの糧にしたい」と懐かしげに振り返り、うなずいた。

 来年からは球団に残り、5歳~12歳を対象とするジャイアンツアカデミーのコーチを務める。「とにかく目の前ことを一生懸命教えていって、いい選手がその中から生まれていけばいいなと思います」。夢を形に変えた男は、少年たちの夢をかなえさせる立場として、新たなスタートを切る。

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