東海大菅生・上林、ソフトバンク兄に「超えたよって報告します」

9回、同点の生還でガッツポーズする上林(右)=甲子園
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 「全国高校野球選手権・準決勝、花咲徳栄9-6東海大菅生」(22日、甲子園球場)

 東海大菅生は延長十一回の熱戦に敗れ、初の決勝進出はならなかった。

 ソフトバンク外野手の兄・誠知を持つ上林昌義外野手(3年)は九回に代走で出場。1番・田中の遊撃強襲二塁打で一塁から一気に生還する好走塁を見せ、一時は同点となるホームを踏んだ。

 兄は仙台育英で3度甲子園に出場。高校日本代表にも選出され、プロ入りもかなえた。上林は「中学時代は比べられるのが嫌だった」と振り返る。

 吹っ切れたのは、父・光行さんにかけられた言葉がきっかけだった。「自分は自分。やることを普通にやっていればいいんだ」。高校に入学してからは兄への意識も変わり、素直に尊敬できるようになった。

 右肩を負傷した昨秋から、三塁ベースコーチに。今春は右肘も痛め、夏の西東京大会は出場がなかった。それでも「どんなつらいことがあっても、将来役立つための神様からの試練」と与えられた役割をまっとう。相手を研究してシートノックに目をこらし、的確な判断でチームを支えた。

 2試合連続で代走での出場となった準決勝。間一髪のタイミングで頭から本塁に滑り込み「足で得点できたのがうれしい。三塁ランナーコーチの経験が生かせた。ホームインした瞬間は、頭が真っ白でした」と充実感をにじませた。中学の頃、すでに高校球界のスターだった兄に言われて一番うれしかったのが「お前は俺より足が速い」と認められたこと。その50メートル走5秒9という自慢の快足で、甲子園にしっかりと足跡を残した。

 兄は甲子園で3年春の8強が最高成績だった。最後の夏に憧れの聖地にたどり着き、4強入りを果たした上林。「初めて勝ったと思った。ベスト4で終わったけど『どうだ、超えたよ!』って報告します」。兄の偉大さを十分に肌で感じた弟の顔に、誇らしげな笑みが浮かんだ。

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