侍・石川、先陣斬った 4回2安打1失点「野手の方々に助けられた」

 「WBC・1次リーグB組、日本11-6キューバ」(7日、東京ドーム)

 ヒゲ侍に心からの笑顔はなかった。日本の石川歩投手(28)=ロッテ=が4回2安打1失点。大一番の先発として白星をたぐり寄せる投球を見せたが、「制球に苦しんでしまった。1失点は野手の方々に助けられてなんとか…」。一語一語考えながら静かに振り返った。

 弾まぬ口調といかにもさえない表情。だが、これこそが石川の持ち味だ。ひょうひょうとした雰囲気で、決して手の内をさらさない。

 一回にいきなり無死一、二塁としたが、菊池の好守で併殺が決まり2死三塁。デスパイネには四球を与えたが、サーベドラを三ゴロに仕留めてしのいだ。

 決して慌てない。140キロ台後半の速球と80~90キロ台の変化球で緩急を使った。三回には先頭セスペデスの二塁打などで1死三塁とされ、アヤラの中堅に伸びた打球を青木が好捕。同点の犠飛となったが、抜けていればその後の展開は分からなかった。四回をピシャリと抑えて則本にバトンを渡した。

 ロッテでは涌井の陰に隠れて次男坊的な存在だ。今回、日本代表に選ばれたことで、今までとは違う責任感が芽生えた。

 早くからWBC公認球を使って対策を講じる姿があった。「真っすぐはよかったが、変化球の精度を上げないといけない」と次回の登板を見据えた。ひょうひょうとした味に決意がブレンドされて、五右衛門が一皮も二皮もむけた。

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