オリックス2軍、5年で観客動員2倍「大阪で一番」目標に地道に活動

 オリックス2軍がエライことになっている。2011年8月にファーム事業部を立ち上げてから昨年までの5年間で観客動員数は2倍弱、収入は3・5倍の大幅増という盛況ぶり。そこには12球団一人気のない球団から“大阪で一番になる”を目標に掲げた地道な活動があった。

 オリックスの2軍がすごい。前売り完売。スタンドは満員。ウエスタン・リーグ最下位。スターがいるわけではない。なぜか?仕掛け人である岡村義和ファーム事業部グループ課長(52)に迫った。

 5年前の夏に受けた辞令が始まりだった。新設のファーム事業部への異動。それまで鍛える場であった2軍から、ファンサービスを始めようというものだった。岡村氏にはあるアンケートの結果が頭にあった。12球団の人気ランキング。オリックスは12球団最低の0%だった。

 「3000人の中で30とか40人だとこういう結果になるらしいのですが、アカンやろうと思いました」

 巨人や阪神のような全国区になれなくてもいい。それならばと大阪で一番になることを目標に掲げた。手始めに2軍の本拠地である神戸第二以外の開催を模索。関西にある29球場を調べ、球場を保有する自治体と交渉。「プロ野球がホンマに来るんかいな」と疑心暗鬼の担当者を相手に何度も足を運び、必死に口説いた。

 売りは“間近で見られるプロ野球”。「野球に理解のある方々にお願いした」と、チケット販売は地元にあるスポーツ用品店に委託した。運営はアルバイトを雇わず、自治体とボランティアに手伝ってもらった。地元大学には来場者の市場調査やチケットのもぎり、ボールボーイなどを出してもらった。

 「みなさんに“自分の試合”と思ってやってもらいたかった」

 その結果、徒歩や自転車で地元からプロ野球を見に来る客でスタンドは埋まった。ここ5年で観客動員は2倍弱、収入は3・5倍に増えた。この成功に阪神、楽天など、他球団からの問い合わせも相次いでいるという。

 岡村氏は「15年計画なんです。今、来てくれた子どもたちが大人になって、自分がもらった給料で再びオリックスの試合を見に来てくれる。そんな日が来ることを目標にしています」と熱く語る。一人でも多くのオリックスファンを増やすために今日も奔走している。

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