侍3位死守も…笑顔なきコールド勝利
「プレミア12・3位決定戦、日本11-1メキシコ」(21日、東京ドーム)
日本はメキシコを11-1の七回コールドゲームで下して3位となった。
最後の一戦を勝利で飾ったが小久保監督に笑顔はない。「おとといの試合で悔しい思いをして、選手は切り替えるのが大変だったと思う。最後はいい形で締めくくれてよかった」と言葉を紡いだ。
19日の準決勝・韓国戦で敗れ、初代王者の目標は断たれた。だが、1次ラウンドで苦戦したメキシコ相手に七回コールド勝利。3位を確定し、侍が意地を見せた。
今大会を「ただ一つだけ(言えるのが)人生で一番重い1敗を喫した」と総括する。17年のWBCへも「構想はあるが、その都度話していきたい」と多くを語らず思いも苦しみも胸に納めた。あの時と同様に-。
青学大3年で出場した92年バルセロナ五輪。日の丸に袖を通し「怖さがあった」という重圧の中、毎夜、選手村で黙々とバットを振り続けた。その姿を静かに見つめていたのが、当時の柔道日本代表総監督で東京五輪無差別級銀メダリストの故・神永昭夫氏だ。
「ああいう選手が、日本の野球界を引っ張っていくんだろうな」
その予言は23年後に実現した。そんな男だからこそファンの期待に応える責務を痛感する。「課題は(自分の)中で消化したい」。世界一をつかむ日まで、小久保裕紀は研さんの道を歩む。