原G3連覇!天国の父に捧げる8度舞い

 「DeNA3‐6巨人」(26日、横浜)

 巨人は26日、3年連続36度目(1リーグ時代を含め45度目)のリーグ優勝を決めた。マジック2で迎えたDeNA戦に勝ち、2位広島が阪神に敗れて決定。原辰徳監督(56)は自身7度目のリーグ制覇。天国の父に手向けるVとなり、男泣きした。次は日本一奪回に向けて、10月15日から始まるCSファイナルSでファーストSの勝者と対戦する。

 泣いた。涙があふれ出た。最愛の父との思い出が、ぎっしり詰まった場所で優勝の瞬間を迎えた。原監督は「私事ですが父が他界した。この横浜スタジアムで胴上げできたのは大変、喜んでいると思います」。涙ぐみ、言葉を詰まらせた。

 深い悲しみも、苦しみも乗り越えてリーグ制覇を達成。たくましく成長した選手たちの手に体をゆだね8度、宙を舞った。「本当に長くて険しく大変なシーズンでした。全員で団結して、もがき、汗をかき、知恵を出しながら本当によく頑張ってくれました」と頬を緩めた。

 圧倒的な強さを見せつけたわけではない。打線の柱を任せる方針だった阿部、村田が不振にあえいだ。動いた。毎日のように打順を変え活性化を図った。本来はシーズンを通して固定したい4番に今季は7人も据えた。4番の阿部に送りバントを指示、外野手も加えた内野5人シフト…。周囲の度肝を抜く策を繰り出した。手堅い守備と機動力も駆使して粘り、接戦を勝ち抜いた。

 深い悲しみに暮れた。5月29日に最愛の父、貢氏が心不全のため78歳で死去した。原監督にとって「存在そのものが精神的な柱だった」と関係者。心の支えを失った。だが常にポジティブだった貢氏の言葉を思い出し奮い立った。「人生というのは挑戦だぞ」。信念を貫き、前向きに動く。それこそが父の背中を追い続けた息子の“挑戦”だった。

 一心同体のような親子鷹。東海大相模、東海大の監督だった父親に英才教育を施された。「よく怒られた」としみじみ言う。大学1年まで鉄拳制裁を受けたことは今も忘れられない。巨人の監督になってからも時々、試合後に一緒に食事をし、父の野球理論を吸収した。

 貢氏が厳しく接してきたのは、息子への深い愛情だった。09年。WBC日本代表の監督として世界一に導いた息子の偉業を見届けると、貢氏は涙を流したという。「俺に教えられることは何もない」。厳格な父が監督・原辰徳を認めた瞬間だった。

 天国の貢氏も、ほほ笑んで見守ってくれたことだろう。自身2度目のリーグ3連覇。紛れもない名将だ。だが指揮官は「『まだまだ』と言っていると思います」と厳しかった父を思い出し、気を緩めることはなかった。

 日本一奪回こそが今季の大命題。「強いジャイアンツを目指し、ひと山、ふた山、乗り越えられるように頑張っていきたい」。ひたすらタクトを振り、前に進むだけだ。

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