「西武１‐２楽天」（２８日、西武ド）

　高々と突き上げた拳。この瞬間を待っていた。２年連続開幕投手の楽天・則本が、プロ初の完投勝利。「最後まで投げきって、勝利のマウンドに立っているのは最高の気持ちです」。ヒーローインタビューで笑顔がはじけた。

　ピンチの連続を乗り切った。八回２死二、三塁で浅村を右飛、九回１死一、二塁では炭谷を遊ゴロ併殺打。１３３球。八回は首脳陣に「行きます」と言った。チームを背負うという、意思表示でもあった。

　昨年、１５勝を挙げ、勝ち取った新人王。だが、唯一できなかったのが完投勝利だ。「何回もそういう場面があって、殻を破れなかった」。代えずに見守った星野監督は「最後まで決着つけろと。切り抜けて、相当いい感じになる」と評価した。

　スタンドには昨年クリスマスイブに結婚した、紋華夫人の姿。オフに、海外で挙式を計画中だ。「食事もバランスを考えて作ってくれるし、いつも感謝してます。今年もいい形で終われて最高の式を挙げたい」。愛妻に届ける白星にもなった。

　連覇を目指すシーズン。「新エースか」と問われた指揮官は「何言ってんだ？エースは３年以上たってから」と認めなかった。だが田中が抜け軸となる男。チームと家族。より強くなった責任感を胸に則本の２０１４年が始まった。