マー君、直訴の連投で胴上げ投手締め

 「日本シリーズ・第7戦、楽天3‐0巨人」(3日、K宮城)

 楽天・田中は体の底からあふれ出る喜びを爆発させた。最後は代打矢野を決め球のスプリットで空振り三振を奪うと、雄たけびを上げ、両拳を突き上げた。リーグ優勝、CSファイナルS、そして日本一の胴上げも全て最後を締めた。

 今年一番の歓喜の瞬間だった。11年の東日本大震災で苦しんだ人々に勇気を‐。その一心で今季24勝無敗の大偉業を遂げた。お立ち台に上がると「東北の皆さんの前で胴上げすることができてうれしかったです」と言った。そして「ありがとう!日本一になったぞー!」と絶叫した。

 前日160球を投げたばかり。投げられるはずもないエースが九回、ベンチから出てくると、大歓声が湧き起こった。登場曲ファンキーモンキーベイビーズ「あとひとつ」が流れると超満員のスタンドが大合唱で揺れた。

 疲れがないわけがない。先頭村田に中前打を浴びたが、そこでまたスタンドから田中コールが響く。巨人ファンの声援をかき消す大声援。「あれだけの歓声をいただいて幸せだなと思った」と大きな力となった。1回を2安打浴びながらも無失点。村田、ボウカーにはこの日の最速150キロ。気力を振り絞っての15球を投じ日本一をつかんだ。

 前夜は今季唯一の黒星を喫した。類を見ない負けず嫌いは、星野監督に登板を直訴した。「昨日(第6戦)やられて、申し訳ない気持ちで。何とかしっかり締めたかった」と田中。熱いリベンジ投に星野監督も「最高のシナリオになったな」と涙まじりに喜んだ。

 来季はポスティングでのメジャー移籍挑戦が濃厚だ。日本での見納め投球の可能性が高いだけに、敗戦のまま終わりたくなかった。「みんなに感謝です」と田中。“日本ラスト投球”を最高の形で締めた。

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