川上氏長男が最期語る「眠るように…」

 プロ野球創成期を球界の第一人者として支え、監督として巨人を不滅の9年連続日本一に導いた川上哲治氏が28日午後4時58分、老衰のため東京都稲城市の病院で死去した。93歳。

 川上哲治氏の長男、貴光(よしてる)氏(67)が30日、東京都世田谷区の自宅で取材に対応した。「本当に静かに、スッと眠るようでした」と最期の様子を明かした。

 貴光さんは「父の背番号は16だった」を執筆し、92年にミズノスポーツライター賞を受賞。「外では厳しい、頑固でいい印象ではなかったと思う」と言い、「家庭人としては穏やかで優しい人でした。普通の父親でギャップがあった。いつか父を書きたかった」と亡き父をしのんだ。

 09年に脳梗塞を患うまでは趣味のゴルフを楽しみ、野球もテレビで見ていたという。巨人が楽天と日本シリーズを戦う中での悲報。原監督と星野監督ともに親交があり「『どっちも勝て、負けないでくれ』という思いじゃないかな」と、思いを代弁した。

 戒名は「大徹院赤心哲山居士」となった。貴光さんは「『赤』は赤バットの『赤』と思われるかもしれませんが、素の心という意味です」と話した。告別式は密葬となったが「しのぶ会のようなものをするつもりです」と、別れの場を改めて設ける意向を示した。

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