阪神優勝をアシストしたライバル5球団の不甲斐なさ 佐藤義則氏が指摘「戦い方に問題があった」
今季のセ・リーグは投打ともに充実する阪神が2年ぶり7度目のリーグ制覇を飾った。貯金をほぼ独り占めにし、2位以下を大きく引き離してのぶっちぎり優勝だった。独走を許したライバル5球団について、デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏は「戦い方にも問題があった」と指摘した。
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阪神の強さばかりが目立ったセ・リーグだが、それ以上に不甲斐なかったのが他の5球団だ。巨人は岡本、ヤクルトは村上にサンタナ、DeNAも牧やオースティンら主力選手に故障者が出たことは確かに痛手だったが、戦い方自体にも問題があったように思う。
攻撃に関しては、粘り強く1点を取りにいく野球ができていなかった。阪神はチームの犠打数がトップで、特に2番の中野の犠打数はダントツの1位。さらにチーム盗塁数も阪神がトップだ。対する5球団は走者が出ても、なんとか得点圏に走者を進めてという工夫が見られず、打つことで2点、3点を取ろうしているケースが目についた。昨今のプロ野球は投高打低。3割打者もほとんど出ない中で、ただ「打て打て」だけじゃ、なかなか点は取れない。
こういう野球をしていると、プレーしている選手自身も「なんでバントのサインが出ないんだろう」とベンチワークに疑問を感じたり、投手陣も「なんでバントして1点を取りにいってくれないのか」と不満を持ったりするもの。実際に現役時代、自分もそう思ったことが何度もあった。そして、そういうことが重なっていくと、チーム全体の士気やモチベーションにも影響が出てくる。
もう一つは打線が固定された阪神に対し、他の5球団は打線を日替わりでころころ組み替えていたこと。しかも、その組み替えが理にかなっていないケースが多かったように感じた。たとえば阪神が優勝を決めた7日の試合。広島は3番に羽月を起用した。調子がいいから起用するのはわかるけど、なんで3番なの?7番でいいんじゃないの?というふうに感じた。
投手目線でいうと、3番には実績のある選手、たとえば秋山が入った方が嫌だと感じる。調子が悪いのかもしれないけど、バットに当てる技術は羽月よりもずっと高いだろう。ちなみにその日の羽月は4打数無安打2三振。少しきつい言い方になってしまうけど、下位の打順で打てたからといって、3番や4番に入っても同じように打てるものではないということ。
8月30日の巨人-阪神戦もそう。巨人は岸田を4番にして、岡本を3番に据えた。この試合は岸田が3安打してベンチの期待に応えたが、そういう問題ではない。やはり巨人の4番は岡本であって、岸田の調子がいいからといって簡単に4番を代えるものではない。
投手陣も、阪神打線に対してプレッシャーがかかって勝手に四球を出して勝手に打たれてしまっている印象だった。確かに阪神はみんないいバッターがそろっているから慎重になるのはわかるけど、その結果が四球ではまさに相手の思うツボ。そこからつけ込まれて失点するケースが目立った。いわゆる自滅だ。
ちなみに阪神打線が選んだ四球数はリーグ1位。塁に出ると、きっちり得点圏に走者を進めて1点を取りにいく。対する他球団はそういう野球ができていなかった。ただでさえ、投打とも充実した戦力を誇る阪神に対して他球団がこんな野球をしていては勝てるはずがない。阪神が優勝したのも当然の結果といえる。
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