【西山秀二氏の眼】「死角の少ない阪神。あえて言えば守備でのポジショニングあたりか」 阪神サヨナラ負けの場面に注目

 「巨人11-10阪神」(13日、東京ドーム)

 カード最終戦は乱打戦の末、巨人が坂本の逆転サヨナラタイムリーで決着した。ただ、この敗戦が今後の阪神に悪影響を及ぼすこともないだろう。デイリースポーツ評論家・西山秀二氏もポストシーズンに向け「死角はほとんどない」とする。それでも、あえてミスとなる“芽”はつんでおきたい。西山氏は最後の場面に注目した。

   ◇   ◇

 阪神のサヨナラ負けのシーン。1死二、三塁から坂本の打球が、ショート・熊谷のグラブをすり抜けてセンター前。これで二塁ランナーも生還して試合が決まった。

 勝ち、負けはいい。10点を奪った阪神打線も相変わらず強力だし、11点を取られたとは言え、きわどいところを「ボール」と判定しがちの主審に当たれば、こういう試合になることはままある。

 ただ、熊谷のプレーには、既視感があった。木浪、小幡と比べると少し、位置取りが三遊間寄りになる。これまでも「ショートが捕れるかな?」という打球が、熊谷が守っている時にはセンター前に抜けたことが何度かあったように思う。

 この場面。当たり前だが、2、3歩、二遊間に寄って守っておけば熊谷もボールを抑えられただろう。仮に坂本が思いきり引っ張って、三遊間を抜いていったとしても、同点止まりだったはずだ。

 つまり、還したくない二塁走者がいるケースでは、左前打は生還を防げる可能性があり、中前打となるとかなりの確率でホームインできるので、ショートは二塁ベースに寄せて位置取りするのがセオリーだ。

 ポジショニングには様々な理由がある。野手の肩の強さもあれば、投手の左右や配球にもよる。ただ、木浪や小幡なら止められたかも、という打球が中前に抜け、失点ということは避けたい。

 純粋な守備力ではなく、位置取りが理由であれば、対処することも難しくない。ポストシーズンで熊谷を起用するケースも十分にあるだろう。そのためにも、今のうちにコーチを交えて最善がどこにあるかを確認しておけば、阪神の死角はさらになくなっていくだろう。

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