阪神・豊田 プロ初サヨナラ「なんとかしてやりたい」31戦0封マルティネスに土付けた 5連勝で2位と今季最大5差
「阪神3-2巨人」(3日、甲子園球場)
痛快な巨人3連倒やで!!阪神は同点の九回、豊田寛外野手(28)がプロ初のサヨナラを決める中犠飛で熱戦に終止符を打った。開幕から31試合連続無失点だった守護神マルティネスの牙城を崩し、今季3度目のサヨナラ勝ちで5連勝。2位・広島とのゲーム差を今季最大の5に広げた。シーズンはすでに折り返しており、独走ムードが漂ってきた。
最後の最後にとびきりの笑顔が咲いた。仲間にもみくちゃにされた豊田に大歓声が降り注ぐ。「もう、最高にうれしいです」。初のお立ち台では素直な気持ちがあふれた。
悔しい打席を送っていた。二回は好機で併殺に。四回も1死一、二塁の同点機で打席が回ったが、ここで藤川監督の魔法の言葉が救ってくれた。「縮こまらないでくれよ」。結果はまた併殺となってしまったが、「声をかけてくれてありがたかった」と前を向けた。
まずは守備で挽回した。1点差とした直後の五回1死一、二塁。巨人の坂本が左前打を放った。豊田は捕球すると本塁へすぐさまワンバウンド送球し、二走・泉口をタッチアウトに。「チャンスをつぶしてしまったので、何とか守備で貢献しようと」。追加点を阻止したビッグプレーだった。
そして打席でも挽回のチャンスが巡ってきた。同点の九回無死満塁。代打を送られなかった。「我慢強く使っていただいた気持ちに応えたかった」。相手はセ・リーグタイ記録の31試合連続無失点中のマルティネス。「なんとかしてやりたい」。その一心だった。
カウント3-1からの5球目は外角高めのボール球だったがファウルに。「フォアボールを選ぼうと考えてたら負けてしまう。振っていこう」と思い切ったからだ。6球目もファウルとし、続く7球目だった。直球を打ち返し、中犠飛に。絶対的な守護神から決めた自身初のサヨナラ。「覚えてないです」。それだけ無我夢中だった。
社会人卒4年目の28歳ともう若くない。春季キャンプは宜野座組に抜てきされたが、結果を出したい思いが空回りし、オープン戦でも結果を出せず。開幕は2軍スタートとなった。ファームの期間も焦りはあった。妻・舞さんが心配するほど食欲が落ちたこともあった。それでも頑張れたのは家族の存在があったからだ。「俺、家族失ったら何もないから」。そう漏らしたこともある。
1歳4カ月になった愛娘の成長には遠征から帰ってくるたびに驚かされるという。公園に手をつないでいったり、ご飯を食べさせたり家に帰ればパパの顔だ。普段は感情を出さないが、1軍昇格後には舞さんにこう話した。「どうなるかと思った。野球人生終わるのかなって」。その覚悟をこの日はバットに乗せた。お立ち台では「家で応援してくれていると思うので、妻と子供に届けたいと思います」と笑った。
これでチームは巨人に今季2度目の3タテを決め5連勝。「しっかりチームに貢献して、まだまだ勝って活躍したい」。苦労人はここから何度でもはい上がっていく。
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