【狩野恵輔氏の眼】阪神ベンチの「点を取りにいく」メッセージ 七回に三走・大山→代走・熊谷 通常のスクイズでよかったかも

 「阪神1-3ソフトバンク」(21日、甲子園球場)

 阪神・藤川球児監督(44)の勝負手は実らなかった。1点を追った七回1死一、三塁。まだ打席が回る可能性のあった三塁走者の大山悠輔内野手(30)に代走・熊谷敬宥内野手(29)を送り込んだが、坂本誠志郎捕手(31)の3ボールから意表を突いたセーフティースクイズが捕手前に転がってしまい、得点を奪うことができなかった。交流戦は8勝10敗で負け越し。デイリースポーツ評論家の狩野恵輔氏は「通常のスクイズで勝負してよかったかもしれない」と指摘した。

  ◇  ◇

 『点を取りにいく』『この回は勝負』というベンチからのメッセージが感じ取れた攻撃だった。1点ビハインドの七回。先頭・大山の左前打などで1死一、三塁としたタイミング。阪神ベンチは三走・大山に代走・熊谷を起用した。まだ打席が回ってくる可能性のある5番バッターを代えたのだ。

 『勝負にいく』というベンチの意志を選手も感じたはず。だからこそ、チームとして、もっと勝負にいってよかったかもしれない。この場面で坂本はカウント3ボールからセーフティースクイズを試みた。打球は捕手前に転がり、熊谷は本塁へかえれず三塁のまま。最低でも同点に追いつくというベンチの意志を強く感じたイニング。3ボールから仕掛けるのであるならば、通常のスクイズで勝負してよかったかもしれない。

 一方、見逃してはならないのは、この回の高寺の打席だ。無死一塁からバスターエンドランで好機を拡大した。初球は犠打を試みてファウル。その後、ボールを2球見送ってからの作戦だった。

 初球でバントをファウルしたこと、そしてバッティングカウントになったこと。さらに打撃練習からも状態の良さが目立っていたこと。これら複合的な理由からバスターエンドランにしたのではないだろうか。出場機会に飢えている若手選手。見事に的中した作戦だった。

 リーグ順位を見れば、2位のDeNA、広島と3・5ゲーム差。今季交流戦は8勝10敗で負け越したものの、悲観的になる必要はないだろう。リーグ戦再開は27日からのヤクルト3連戦から。勢いづけたい。

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