闘争心に火 阪神・岡田監督のゲキ「西!」「お前白黒つけてこい!」 100球超え続投指令 4・18広島戦

 就任1年目で見事に阪神を18年ぶりのリーグ制覇に導いた岡田彰布監督(65)。先の先まで読み切ったような采配は何度も見る者をうならせた。その“神采配”を振り返る。

  ◇  ◇

 ベンチ裏のロッカーへ向かい、西勇が階段を下りた時だ。岡田監督は「西!」と呼び止めた。4月18日・広島戦(甲子園)、0-0の八回攻撃中。「お前白黒つけてこい!」。「そうですね、頑張ってきます!」。西勇の球数は114球に達していたが、岡田監督の判断は続投だった。

 「勝ち負け付けなあかんと思ってたから。点入ってたら代えてたよ、そらな。点が入らんから勝ち投手ならんやんか。だから九回までいったんやけどね」

 岡田監督は試合後、そう説明した。続投の理由は今季3試合目の西勇に初白星をつけてあげたいという親心。マウンドに立てば常に完投を目指す西勇にも思いは伝わっていた。将とのやり取り直後の心境をこう明かす。

 「もう一回行ってこいと言われたら『ヨッシャ、行こう!』みたいな。意気に感じていく感じです。いい結果を出そうというよりも、気持ちを切らさず頑張ろうと」。九回、西勇はマクブルームに適時打を浴び1点先制を許すが、その裏に中野がサヨナラ打。今季初勝利を128球の完投で飾り、指揮官の続投指令に応えてみせた。

 計算し尽くした用兵、経験に裏付けされた采配だけでなく、時に熱い言葉で選手の背中を押してきた。今季、マウンドへ向かうことはなかったが、ベンチでは投げ終わりの投手の元へ歩み寄り、笑顔で好投をねぎらうシーンは何度も見られた。シーズン終盤。9月10日・広島戦(甲子園)では伊藤将の続投志願を受け入れ、10勝目をマークさせている。

 投手だけではない。5月28日・巨人戦(甲子園)では1-1の七回、先頭木浪に「絶対に塁に出ろ!」とハッパ。試合中の助言も効果抜群だ。7月25日・巨人戦(甲子園)で大山が逆転2ランを放つと「ホームランを打てる打ち方教えたんよ」とニヤリ。8月8日・巨人戦(東京ド)では4号2ランを放った森下が「監督から右中間に打ってこいとアドバイスをもらった」と明かしたこともあった。

 「なかなか声をかけられない監督にそうやって言ってもらえることはうれしいこと」

 オリックス時代から知る西勇は言う。以前よりコミュニケーションが増えたとはいえ、決して口数が多い方ではない。将のシンプルな言葉は若いナインの心を揺さぶり、闘争心に火を付けた。

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