阪神・伊藤将 村上&大竹に続いた10勝トリオ 志願の続投「まだ投げたいです。全部行きます」

 8回、勝ち越し打を放った糸原(33)を迎える伊藤将(撮影・神子素慎一)
 8回、代打・糸原の2点適時打で勝ち越しに成功し歓喜する岡田監督(中央奥)ら阪神ナイン(撮影・立川洋一郎)
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 「阪神タイガース5-1広島東洋カープ」(10日、甲子園球場)

 普通なら代打が出てもおかしくないシーンで、阪神・伊藤将司投手(27)は攻撃前に岡田監督に続投を志願していた。「まだ投げたいです。全部行きます」。この試合はオレで勝つ。思いが実り、3日連続の2桁勝利投手誕生を完成させた。

 同点の七回1死二、三塁。ネクストバッターズサークルには糸原が待機していた。それでも満塁となると打席に登場したのは、指揮官に直訴した伊藤将。結果的には三ゴロ併殺打に倒れていた。

 ただ、簡単に気持ちは切らさない。八回はマクブルーム、田中、会沢を三者凡退に仕留め、良いリズムを作った。その裏に代打・糸原の勝ち越し打などでリードし、自身は8回3安打1失点で交代。村上、大竹に続いて3日連続で先発投手無四球も決め「波に乗れたと思う」と胸を張った。

 ルーキーイヤーだった21年以来の10勝だが、意味合いが少し違う。今年は左肩違和感で開幕は出遅れ、4月下旬から1軍に昇格。着実に勝ち星を重ね、2桁勝利の王手がかかったマウンドだった。今回、志願の続投を認めてくれた岡田監督には感謝しかない。「ああやって行かせてくれるのは、先発からしてもうれしいことなので」。指揮官も「『最後まで行かしてください』って言うから、(七回)おまえで決めて来い言うたんや」と笑顔だ。

 いつもクールな心優しき27歳だが、芯の強い男だ。プロ野球は華やかな世界だが、裏側にある生存競争は厳しい。伊藤将は1年目から先発サバイバルに勝ち、ローテを守り抜いてきた。左腕の中に常にあるのは向上心だ。

 「タイガースのエースを獲る。そのくらいの気持ちでやらないと」。長い回を投げるのは当たり前。勝利のために腕を振れればそれでいい。志高き猛虎の左腕が、さらなる進化の道を駆け上がる。

 ◆10勝トリオ 伊藤将が10勝で、村上、大竹と並びチームトップタイ。球団で3人以上が2ケタ勝利は21年の青柳13勝、秋山10勝、伊藤将10勝以来。

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