阪神ファンの記憶刻むイチオシ缶バッジ 歴代担当者の思い受け継ぐ甲子園勝利後の“定番” その裏側とは

 甲子園で阪神が勝利した試合後に販売されている、その日活躍した選手がデザインされた「イチオシ缶バッジ」。そこには担当者のファンへの思い、苦労、こだわりがたっぷり詰まっている。阪神タイガース事業本部営業部の担当者がその裏側を明かした。

 阪神が甲子園で勝利すればお目にかかれる、その日活躍した選手がデザインされた「イチオシ缶バッジ」。試合後1時間、甲子園外周のミズノスクエアと駅前広場にて1個500円で販売している。

 2016年6月に販売を開始してから購入できるのは当日のみだったが、20、21年は新型コロナウイルスの影響で当日販売を中止し、後日販売を始めた。需要があったことから現在、後日販売も継続している。1週間限定でグッズショップ「アルプス」や同「ダグアウト」で購入できる。

 今季一番売れたのは5月14日・DeNA戦で3ランと満塁弾を放った佐藤輝の2350個。昨年から担当している担当者は「お客さまに試合以外の思い出をお持ち帰りいただいて、試合+αで『モノ』として記憶に残るように」と歴代の担当者の思いを受け継いでいる。

 元々はその日の試合のヒーロー選手をデザインした「ヒーロー缶バッジ」として販売されていたが、「お客さまをお待たせすることにもなるし、ヒーロー以外で活躍してる選手もいるから」と担当者が選手を選ぶ「イチオシ缶バッジ」に形を変えた。

 担当者は試合をチェックしながらチーム内で話し合い、その日の選手を決定。製作するメーカーとも連携を取りながら、試合終了時点に合わせ数百個を用意する。試合後も購入に来る人数を見ながら、作り続けているという。

 「選手を決めることが一番大変です」。特に活躍した選手が多い場合には頭を悩ませるという。試合後に合わせて製作するため、選手の決定は遅くても八回裏まで。

 「『今日この人ちゃうやろ』みたいなのは結構言われます。サヨナラ勝ちでも九回に活躍された選手ではない場合もあるので…」とファンの反応もダイレクトに感じている。

 同じ選手が何日も続かないように心がけ、「ファン目線と、実際のチーム内の活躍とのバランスは難しいです」とできる限り多くのファンに喜んでもらえるように、試行錯誤を重ねる写真とともに刻まれる文言にも気を配る。「きっと大丈夫であろうと思っても『完封』って言葉を使えなかったり。事実と異なるものを販売するわけにはいかないので」。

 苦労は多いが、やりがいも感じている。「その日の試合で子どもたちが『タイガースが勝って、才木選手が活躍したからこのバッジを持ってる』という一日の流れを覚えてくれる、思い出してくれるのを見るとうれしい」。毎回購入し、1年間分全てを帽子につけているファンを見ても喜びを感じるという。

 販売開始当初は認知されるまで時間もかかったが、2、3年すると“定番”となった。

「これからも『甲子園の名物』として残していけたら」と担当者。楽しい記憶を缶バッジに刻み、多くの人を笑顔にしていく。

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