阪神・才木〝七回の壁〟突破で11K 〝骨〟で身体支えるトレーニング→長いイニング可能に

 5回、丸山和を三ゴロに打ち取り、ナインとタッチを交わす才木(撮影・高部洋祐)
 1回、山田(手前)を見逃し三振に仕留める才木
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 「阪神1-1ヤクルト」(9日、甲子園球場)

 何とか勝ち星をつけてあげたかった…。阪神は2度のサヨナラ機に、あと一本が出ずに延長十二回引き分け。鬱憤(うっぷん)がたまる試合展開になった中で、先発の才木浩人投手(24)の胸のすくような快投が光った。自己最多を更新する11奪三振で、7回1失点。打線の援護がなく、今季2勝目はお預けとなったが、満員御礼の聖地スタンドを沸かせた。

 よく投げた-。スタンドから起こった称賛の拍手を打ち消すかのように、才木は膝にグラブをたたきつけた。ベンチでうなだれ、悔しさをあらわにする。圧巻の奪三振ショーを演じたとて、満たされない。

 「こういう試合で追いつかれるのは悔しい」。1点リードの七回2死一、二塁で、代打・川端に右翼線への同点適時二塁打を献上。あとひと踏ん張りが利かず、試合後は反省の言葉が口をついた。

 激戦の主役は間違いなく才木だった。初回からいきなり3者連続三振。三回はさらにギアを上げて3者連続空振り三振と、五回までに、これまでの自己最多タイに並ぶ9奪三振をマークした。自己最長の7回を投げ、5安打1失点。さらには11奪三振を記録。聖地の虎党を「K」量産で魅了した。

 最速はこの日、153キロをマーク。三回先頭・長岡に対しては、カウント2-2からクイックで内角直球にズバリと決め、ハーフスイングで空振り三振。剛速球の裏に隠された妙技も光った。

 七回先頭・オスナには高め直球のつり球を投じ、見事に空振りでの3球三振に仕留めた。この日の92球目。梅野は「球も走っていた」とリードの意図を証言する。同点打を浴びたものの、昨季から立ちはだかった“七回の壁”をクリア。その上、まだ捕手につり球を求められるほどの余力を残していた。

 オフには筋肉ではなく“骨”で体を支えるトレーニングに注力した。筋肉は伸長するため形状が変わるが、骨は投球の疲労が出たとしても常に形は一定。「フォームを安定させられる」と長いイニングを投げるために、体の根本的な使い方から意識を変えていた。

 岡田監督も「追い越されるまでは(あの回は)いかせるつもりやった」と七回の才木を信頼。序盤の勢いをいかに終盤まで維持できるか。壁を打ち破ったからには、完投が次なる目標となる。

 「三振を取れているのはいいボールがいっている証拠。あとはしっかり0で帰って来られるようにやっていきたい」。支配的投球をしながらも逃した白星が、背番号35を次なる次元に導く。

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