岡田野球で快幕「いい流れで得点」 これぞ勝つ采配 阪神監督として5276日ぶり勝利

 青柳(17)らとタッチを交わす岡田監督(右)
 4回、スクイズを成功させた青柳(17)を笑顔で迎える阪神ナイン(撮影・立川洋一郎)
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 「阪神6-3DeNA」(31日、京セラドーム大阪)

 プロ野球は31日、各地で5試合が行われ、全12球団が開幕した。18年ぶりのリーグ制覇を狙う阪神は、投打がかみ合った戦いで逃げ切り勝ち。15年ぶりにタテジマに袖を通した岡田彰布監督(65)が、見事なタクトで開幕戦勝利をたぐり寄せた。これぞ岡田野球。目指すべき頂点へ、新生タイガースが力強く、一歩を踏み出した。

 1年前の悪夢を振り払った瞬間、ベンチの岡田監督はバシッ!と手をたたいた。4番手のK・ケラーが追い上げられる展開に、昨年の大逆転負けが頭をよぎったが、新守護神・湯浅が2死満塁のピンチを守り抜いた。15年前の08年CSファーストS。涙に暮れた京セラで、虎将として5276日ぶり白星をヒヤヒヤ白星で飾った。

 「去年はあんまり関係ないんだけど嫌な感じがしたんよ(笑)。去年の見てたからね。俺は関係ないんだけど。(開幕戦は)143分の1だけど負けるよりも1つ貯金を作った方がいいに限るから」

 “岡田野球”を凝縮したような1勝だ。二回、梅野の先制打に小幡がタイムリーで続くと、なお無死満塁から青柳には三振を指示。続く近本の犠飛で3点目を奪い、ゲームの主導権を握ってみせた。

 3-0の四回は岡田采配が的中した。1死一、三塁から青柳のセーフティースクイズで追加点をゲット。「ベンチで点を取る」。有言実行のベンチワークでリードを広げ、天敵・石田を攻略。「バリエーション的にすごいいい流れで得点を重ねられた」と納得顔だ。

 「えらい、軽なったなあ(笑)」。昨秋、15年ぶりにタテジマに袖を通した第一声だ。伝統の重みをかみしめつつユニホームの素材の変化に驚かされた。それほど、長かった。

 オリックス監督を退任してからの10年間。かわいい孫と過ごした日々は充実していた。テーマパークに足を運び、公園ではプラスチックのバットで野球をした。絵に描いたような好々爺(や)。それでも古巣の苦戦ぶりを目にする度、勝負師の本能がくすぐられた。野球界にとどまらず、水面下で受けた政界からの誘いは「迷うわけないやろ」と断った。猛虎愛が揺れたことは一度たりともない。

 「143試合してたらいろんなこと起こるよ。それが起きても、うまいこと0点で終わってくれたらいいな」

 試合後はホッとしたように息をついた。虎将の過酷さを誰よりも知る。それ以上の喜びがあることも覚えている。顔のシワは深くなっても、頭はさえ渡っている。笑って、怒って、ぼやいて…。激動の1年の幕開けだ。うれし涙は“アレ”の瞬間まで取っておく。

 ◆岡田監督が5276日ぶり星 15年ぶりに阪神を指揮する岡田監督の阪神監督勝利は5276日ぶり。2008年10月19日、中日とのCSファーストS第2戦以来だった。オリックス監督時代を含めると2012年9月11日・西武戦以来、3853日ぶり。なお、監督再任までのブランク期間は、最近では高木守道(95年・中日→12年・中日)の16年。さらに高田繁(88年・日本ハム→08年・ヤクルト)の19年の例がある。

 ◆22年開幕戦VTR ヤクルトを京セラドーム大阪で迎えた開幕戦で阪神は最大7点リードをひっくり返される大逆転負け。1点差まで追い上げられて迎えた九回にケラーが逆転されて、そのまま敗れた。岡田監督は昨年までデイリースポーツ評論家を務めており、この試合を「絶対に勝たないといけない試合だった」と言及していた。

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