デイリースポーツメジャー担当が解説 映画「マネーボール」題材 続くアスレチックスの緊縮財政
阪神からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた藤浪晋太郎投手(28)がアスレチックスと1年契約で合意したことが12日、明らかになった。デイリースポーツのメジャー担当記者がアスレチックスのチーム状況を解説する。
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アスレチックスは2リーグ制になった1901年にフィラデルフィアで創設されたア・リーグ最古の球団の一つ。現本拠オークランドに移転したのは68年で88~90年にはマグワイアやカンセコらを擁し、3年連続リーグ優勝。89年には歴代3位タイとなる9度目のワールドチャンピオンに輝いた古豪だ。
90年代半ばから緊縮財政に転換。スモールマーケットながらお金をかけず、独自の評価法で選手を集め、ドラフトで獲得した有望株を育成するシステムを確立し、2000年から4年連続プレーオフ進出。快進撃を続けるチームは映画「マネーボール」の題材にもなった。
08年以降は3度来日して東京で開幕シリーズを戦っている、日本のファンにとってもなじみ深い球団。マリナーズのイチローが現役引退を表明した19年の興行は記憶に新しい。
緊縮財政は現在も続いており、昨季の総年俸はメジャー30球団最低。好成績を挙げ、年俸が高騰する主力を次々とトレードで出すため、看板選手は少なく、本拠地には閑古鳥が鳴く。昨季の1試合平均観客動員数はメジャー唯一の大台割れとなる9849人。エンゼルスの大谷がメジャー104年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した8月9日の一戦も観客は1万人に満たなかった。近年は移転問題で揺れている。
昨季はリーグワーストの102敗を喫しながら大きな補強はなく、今季も厳しい戦いが予想されている。選手にとって恵まれているとは言い難い環境だが、逆に成功するためのモチベーションになりうるチームでもある。(デイリースポーツ・小林信行)
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