【岡義朗氏の眼】阪神・大山、佐藤輝のポジションが固定される一番の近道は「島田の固定」
「中日4-1阪神」(28日、バンテリンドーム)
阪神が敗れ、最下位中日との差が3・5ゲームに縮まった。プロ初先発の森木大智投手(19)を打線が援護できずに完敗。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「島田がブレーキになったが、レギュラー取りには今が踏ん張りどころ。定位置の固定化にもつながる」と“2番・島田”に奮起を促した。
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森木がレベルの高い投球を見せた。150キロを超える球威と安定した制球力。すべての球種でストライクが取れるし、バント処理も不安がない。クイックモーションも及第点。もはや素晴らしいの一語に尽きる。
六回に3点を取られたのはスタミナの問題だろう。回を追うごとに少しずつボールが浮き、狙いからずれる球が出はじめた。ただ五回までわずか1安打で無死四球だったのだから大したものだ。
この試合、森木は2つの二盗を決められたが、これには大きな衝撃を受けたかもしれない。
初回の大島と六回の岡林は、いずれもモーションを盗まれたものだ。岡林はピッチドアウトしても殺せなかった。たとえ坂本の送球がよかったとしてもセーフだったと思う。
クイックは及第点だと述べたが、それでも投球する意思を走者に悟られれば走られる。それがプロの世界だ。チームは専門家の集まり。クセや傾向はすぐに見抜かれる。“キー”になる何かをつかまれたのかな。
これを学んだこともまた収穫だったのではないか。抑えた、打たれただけが経験ではない。この初登板の1試合で森木は多くのものを手にしたと思う。
ただ打線の援護があれば、また違った結果になっていたかもしれない。そう考えると、何度かのチャンスで1本出なかったのが残念だった。
そのひとつが島田の打撃。打の責任を負うのはあくまでもクリーンアップだが、中軸へのつなぎ役として島田はもっと存在感を示さないと。なぜなら今こそがレギュラーを勝ち取る大きなチャンスだからだ。
三回の無死一塁で遊ゴロ併殺打。強い打球だったが、一瞬にしてチャンスが消えた。五回はフルカウントから空振りの三振。二塁走者の中野を還すことも進めることもできなかった。結果、4打数無安打で終盤にベンチへ下げられた。
今年、外野の一角に食い込み、チーム浮上の原動力になったのだから、ここは一気に定位置を奪い取らないとだめだ。
島田には足と肩があり守備力は問題ない。あとは攻撃力だが、なにもヒットを打つことだけが攻撃ではない。
2番という打順の性質上、粘って投手の球数を増やすことや、中野が走るまで“待ち”の姿勢で盗塁をアシストする余裕もほしい。
バントヒットという武器は魅力だが、調子が落ちていろんな面で消極的になっているのかもしれない。
島田が常時右翼で先発出場すれば佐藤輝は三塁、大山は一塁に固定したスタメンが組める。
言い換えれば島田の不調が、ただでさえ不定形な守備位置の“混乱”を招いているともいえる。佐藤輝や大山という中軸選手は、あまり動かさないほうが賢明だ。
そういう意味でも、島田には頑張ってもらいたい。打席で粘りがあり、甘い球を誘い込んで一発で仕留める、近本という身近な手本を生かすことだ。
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