小山正明氏の大絶賛と注文 阪神勝利は「ガンケルに尽きるが課題はスタミナ」
「オリックス1-9阪神」(12日、京セラドーム大阪)
阪神が快勝で交流戦をフィニッシュ。DeNAが敗れたためリーグ4位に浮上した。デイリースポーツ評論家の小山正明氏は1失点で完投したジョー・ガンケル投手(30)の好投を最大限に評価。その一方で完封を逃したことには「非常に残念」と語り、スタミナ不足を指摘した。
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阪神が大勝したが、何と言ってもガンケルの投球に尽きるね。
スタンドや、あるいはテレビ画面を見て、「何であの球が打てんのや?」と疑問に感じたファンは多いだろうが、直球の大半が動いているからバットのシンを外れる。それでいて制球が抜群。もう見事と言うしかない。
オリックス打線も、気持ちよく投げさせないために揺さぶりをかけるなど、何かしら工夫をしてもよさそうなものだったが、打てそうで打てないというのが最も厄介やからね。気がついたら凡打を繰り返していたという感じだった。
ガンケルの特長は十分に発揮されていた。さほどスピードはないが、常にストライク先行で、まったく危なげがなく無四死球で投げ終えた。球速が過大評価される昨今ではあるが、玄人好みの実に“面白い”投球だった。
ただ八回あたりから球がバラつき始め、来日初となる完投は果たしたが、残念ながら九回に1失点し、完封は逃した。
少ない球数でも最後に息切れするのは投手自身にもベンチにも、「九回を投げ切る」「投げ切らせる」という意識が薄いからではないだろうか。そこは大いに不満の残るところで課題だ。
ガンケルはよく投げたし、何の落ち度もないが、あそこまで行ったからには完投はもちろん、ぜひ完封してほしかった。最後まで投げ抜き、シャットアウトするシーンを見たいと思っていたファンも多いだろうからね。
投球数は七回を終わって80。まだまだスタミナは残っているはず。しかしながら実際には“ガス欠”が始まっていたようだ。
現代野球では「100球がメド」「6回を自責点3以内」など、いわゆる分業制が確立したことで、先発投手の価値観にも変化が見られ、完投に対する意識はかつてほどではない。多くの投手に言えることだが、キャンプでの投球数は近年、減少傾向にある。
しかし、数多くのイニングを投げないと、後ろの投手への負担は増すばかり。先発投手は概ね1週間に1度の登板なのだから、なおさらですよ。
キャンプでしっかりとした投げ込みをしていれば、試合終盤に15球や20球増えたところで何の影響もない。古い話をするようで恐縮だが“経験者は語る”で私自身がそうだったから、これは断言できる。
とはいえこの日の大量得点はガンケルの好投が引き出したもで、リーグ戦再開へ向けて弾みのつく試合になった。
まだ阪神の上には3チームいるが、とにかく少しでも上位を目指し、ファンの期待に応える戦いを見せてもらいたいね。
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