【岡田彰布氏の眼】阪神 色んな流れがサンズの一発に

 「阪神9-3広島」(14日、京セラドーム大阪)

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が14日、京セラドームで行われた阪神-広島戦でデイリースポーツの解説を務めた。後半戦連敗スタートを阻止する大勝に「大きな1勝」と分析した上で、流れを呼び込んだポイントにはサンズの19号3ランを挙げた。

  ◇    ◇  

 阪神にとってこの1勝は非常に大きい。デーゲームで巨人が勝っていたが、負けたら2位に落ちるとかではない。まだ50試合以上を残している中、1カ月空いての後半戦スタートでいきなり連敗となると嫌な空気が漂う。

 まだ順位がどうこうと意識する必要はない。とにかく「後半戦はこうやって戦う」という戦い方を固めて行かなければならない段階だ。そのためにもまず1勝が必要だし、とにかく連敗しなかったことが大きい。

 ポイントを挙げるとすれば、2点リードの四回に飛び出したサンズの3ランだろう。その前に近本の右前打で、二塁からホームを狙った梅野が憤死した。クリーンアップに向かう打順の並びに加え、グラウンドが人工芝ということを考えれば、打球は鈴木誠のところへ規則正しく転がっていくだけでなく、送球も人工芝でバウンドさせるとブレが少なく、逆に加速する。守備側からすれば天然芝、土のグラウンドよりも非常に守りやすいだけに、これらの状況から三塁ベースコーチがストップをかけても良かった場面だ。

 このまま無得点に終われば、流れが相手に行きかねないところ。そこで糸原が安打でつなぎ、サンズが突き放す一発を放った。これで逆に試合の主導権を握ることができただけに、非常に大きなホームランになった。

 広島ベンチからすれば、糸原につながれた時点で九里を代えても良かったと思う。ただ直後の五回の攻撃は8番から始まり、九里のところへ打順が巡る。投手を無理につぎ込みたくない、野手を入れ替えたくないなど、さまざまな思惑が重なったのだろう。そういう色んな流れがサンズの本塁打を生んだ。

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