初代表入りの阪神・岩崎の原点 地道な2種類の反復練習 独特フォーム“生みの親”語る

 東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」に内定した阪神・岩崎優投手(29)の原点とは-。投球時に体が低く沈み込み、より打者に近いポイントでリリースする独特なフォームが左腕の最大の特徴。その“生みの親”は現在、ノースアジア大明桜で監督を務める輿石重弘氏(58)だった。

  ◇  ◇ 

 清水東高校1年時、岩崎は野球人生の恩師と運命的な出会いを果たす。山梨・帝京三に勤務していた輿石氏が、同校に臨時コーチとしてやって来た。当時の左腕は直球の最速が130キロに満たない投手兼外野手。まだ、ダイヤの原石だった。

 個人メニューとして課された反復練習は2種類。一つ目はバント処理だった。マウンドから低い体勢で素早く動き、捕球してから一塁、二塁、三塁、本塁と四方向に送球する。同氏は「重心の移動、フットワークを使った動きは投球につながる」と狙いを説明した。

 二つ目が1日1000回のシャドーピッチング。スローイング練習器具を持って鏡の前に立ち、ひたすら腕を振り続けていた。「軸足の左足にタメを作り、前でリリースできるようにと意識させた」。岩崎は全体練習が終わっても一人残り、理想を追い求めていた。

 恩師は言う。「バント処理の体の使い方とシャドーが彼を変えたんじゃないかなと思う。3年生の時と今のフォームはほとんど変わらない」。地道な2種類の練習で現在のフォームの原型が作られた。打者の手元で伸び上がる独特なストレートはこうして生まれた。

 また、走り方の矯正にも取り組んだ3年間だった。他の部員が50メートル走で6秒台を次々と計測する中、1年生の時の左腕は7秒台後半。「足を摺(す)るように走っていたから、しっかり上げるようにということ。前のめりになりがちなのも気をつけながら」。正しい体の使い方を覚え、それは投球にもつながった。

 輿石氏は「練習のレポートを部員全員にお願いしていたけど、彼はいつも『努力します』と書いていたな。教えたことをしっかりと覚えていて、抜くことなんてなかった」と懐かしそうに振り返る。

 ダイヤの原石は地道な努力によって磨き上げられ、光り輝く本物のダイヤになった。「オリンピックで金メダルを取ってほしいな。顔晴れ(がんばれ)!」。岩崎の原点は母校のグラウンドにある。恩師からのエールを力に変え、世界に挑む。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス